不動産情報サービスなどを提供するLIFULLは4月18日、新たな採用プログラム「老卒採用」の開始を発表した。同社が2018年から掲げるメッセージ「しなきゃ、なんてない。」を軸に、“歳をとったら引退しなきゃ、なんてない。”をコンセプトに掲げ、シニアの就業を支援する。
「老卒採用」で募集するのは、営業、クリエイティブ、法務のポジション。応募条件は65歳以上で、Webからエントリーが可能。その後、書類選考や面談後、採用を決定する予定だ。
採用プログラムの開始にあたり、同社は65歳以上のワーカー300人と、企業の採用担当者300人に意識調査を実施。その結果、5年以内に仕事探しをした人のうち、約3人に1人が希望通りの仕事に就けていないことが明らかになったという。主な理由としては、年齢（80.6%）や応募できる企業が少ない（30.6%）ことが挙げられた。
さらに、８割のシニアがこれまでの経験やスキルを活かす職種で働きたいと回答。活かせる・活かしたいと思う経験やスキルは、「自分の意見を持っている」ことが38.3%と最多に。一方で、年齢を理由にした偏見や差別の経験者は3人に1人以上（34.7%）であり、年齢によるネガティブな経験も見られた。
また、採用担当者側へ行った調査では、８割以上が人手不足を感じている一方、積極的に65歳以上の人材を採用している企業はわずか２割にとどまった。採用しない（できない）理由としては、「体力や健康面への不安」が最多の42.2%。次いで、「任せられる仕事がないこと」や「即戦力としての活躍が期待できないこと」が挙げられている。また、選考時に応募者の年齢を不採用の理由として考慮するケースも6割以上となった。
調査を受けて、シニアと企業間のギャップが明らかになったと語るのは、同社広報の及川陽奈子氏だ。
「今回の調査では、シニアの方と企業との間で、シニアの働き方や働きに対する期待などに大きなギャップがあることが明らかになりました。この背景には、シニアの方は『歳相応の働き方をしなきゃ』と考え、企業は『シニアに活躍を求めるのは諦めなきゃ』と、それぞれ“老い”に対する既成概念が存在していると考えました。既成概念によって、多様な経験やスキルを持つシニアの活躍する場が制限されてしまうことはもったいないこと。今回の採用を通じて、“老い”に対する既成概念に気づき、卒業しようとするきっかけを提供できればと思いました」（及川氏）。
今後について、及川氏は「これまでの人生を通じて培われた“超経験”と情熱を持つ方にエントリーいただき、多様性あふれる組織を共につくっていけたらと考えています。そして、昨年12月に創業社長から新社長に代替わりした第二創業期である当社において、知識や経験が豊富なシニアの方だからこその視点で、経営理念の実現に向けて一緒に取り組んでいただくことを期待しています」と話した。
