サントリー食品インターナショナルは、「クラフトボス 甘くないイタリアーノ」の新テレビCM「宇宙人ジョーンズ・ピザ屋(アニメ)」篇のオンエアを、4月15日から全国で開始した。
ハリウッド俳優のトミー・リー・ジョーンズさん扮する宇宙人ジョーンズの「地球調査シリーズ」の最新作であり、今回は19年目を迎える同シリーズ初の試みとして全編アニメーションCMを制作。お馴染みのキャラクターたちがアニメーションで登場し、イタリア語のアフレコに挑戦している。
とある惑星からやってきた宇宙人ジョーンズが、未知なる惑星・地球を調査する本シリーズ。今回の舞台は、斜塔で有名なイタリア・ピサの街だ。店の外で「PIZZA JONES」と描かれた新しい看板を見上げていた看板職人の役所広司さん。「完成だ!」と助手の杉咲さんとともに満足げな表情を浮かべている。すると、外に出てきて看板を見上げたピザ職人のジョーンズはすぐに脚立を登って、斜めにレイアウトされていた「PIZZA」の文字を力ずくで真っ直ぐに。「わざと傾けたんだよ!」「デザインじゃないか!」と怒る役所さんには目もくれず、足元で首をかしげる犬を見つけると、その首も宇宙人の能力で真っ直ぐに。そこへ杉咲花さんが「休憩しましょ!」と割って入り、2人に「甘くないイタリアーノ」を手渡す。ボトルの商品名を見て、「なーにがイタリアーノだ」と疑り深いまなざしを向ける役所さん。ところが、ひと口飲んだ瞬間、その味が意外だったのか、「ん?」と驚いたような表情に変わる。ちなみに、このやりとりはすべてイタリア語だ。
「『甘くないイタリアーノ』という商品名なだけに、やはりテーマはイタリア、ということで、昨年のバージョンでは思い切ってベネチアロケを敢行しました。ゴンドラを漕ぐ役所広司さん(ゴンドリエーレという職業名らしいです)と杉咲花さんの悲恋物語を、水の都・ベネチアを舞台に、全編イタリア語で制作しました。
とはいえ、毎年イタリアロケするのも大変なわけで、今年のバージョンはどうしよう、と企画する中で、アニメーション、というアイデアが生まれました。アニメーションならロケをせずにイタリアが描けるし、この『宇宙人ジョーンズ』シリーズも、なんだかんだで19年目。ここにきてはじめてのアニメ化というのも、新鮮に感じられ、喜んでもらえるのではないか」と、CMプランナー 福里真一氏。
見た目がキャッチーでアニメーションにしても映えそうな、ピサの斜塔を舞台にストーリーをつくったという。
「アニメーションでの表現でまずイメージしたのは、1950~60年代頃の海外のコカ・コーラの広告のようなリアルイラストレーションでした」と、アートディレクター 浜辺明弘氏。
絵のテイストはリアルで写真に近いほうがいいのか、それで驚きが生まれるのかなど、あらゆる方向から検討する中で、浜辺氏が以前から注目していたMax Dalton氏をスタッフ、そしてクライアントに提案した。
Dalton氏は、ドイツ・ベルリン在住のイラストレーター、グラフィックアーティスト。ウェス・アンダーソン監督の映画『グランド・ブダペスト・ホテル』や書籍のイラストなどを手がけていることで知られている。Dalton氏は同監督の映画で、俳優たちをイラストで描いていた実績もあることから、今回実現に至った。
とはいえ、Dalton氏のイラストは二次元で平面である。彼がこれまでつくったアニメーションは、そのテイストを活かしたものだったが、今回はBOSSならではの見せ方を模索した。
「彼の絵の良さを活かしながらも、CMとしてどう見せるかという部分については、八木敏幸監督が苦心してくださいました」(浜辺氏)
具体的にはDalton氏が描いた各カットのイラストをもとに、Tilby/Forbisというカナダのアニメーターがそのイラストの良さを残しつつ、奥行き感のあるアニメーションに仕上げたのだ。ちなみに、Tilby/Forbisは以前にサントリー天然水のアニメーションも手がけた女性二人組。ショートムービー「THEFLYING SAILOR」は、アカデミー賞などにもノミネートされている。
制作時に課題となったのは、CMを見た人が役所さんたち登場人物をすぐに認識できるかどうかということ。「ZoomでDaltonさんと対面しながら、その場で修正してもらうなどして、キャラクターづくりは丁寧に進めていきました」と、浜辺氏。
「ジョーンズと役所さんは顔に特徴があるせいか、すぐにアニメ化できたのですが、杉咲さんはけっこう苦労しましたね。やはり顔が整っている方というのは、デフォルメしにくい分、アニメ化しにくいのでしょうか。とはいえ、最終的には、かわいらしく、杉咲さんらしくもあるアニメになったんじゃないでしょうか」(福里氏)
今回のCMでは、「甘くないイタリアーノ」のボトルやグラスに入った液体のシズルもすべてDalton氏が描いたイラストをアニメーション化。商品までをイラストにしたのは、19年続くこのシリーズでは初めてのことだ。
「アニメ版『宇宙人ジョーンズ』。なかなか魅力的だと思うのですが、いかがでしょう。どこかから映画化のお話などこないでしょうか(笑)。スタート時は58歳だったジョーンズさんも今は77歳。シリーズ19年目も、アニメ化をはじめ様々に工夫しながら、みなさんに楽しんでいただけるものをつくっていきたいです」(福里氏)
SNSでは、Dalton氏の起用を喜ぶ声も聞こえている。そして、JR・東京メトロでは、4月15日からダルトン氏のイラストを使った交通広告も始まった。
スタッフリスト
- 企画制作
- 連、ワンスカイ、株式会社照井晶博、WATCH、トレードマーク、ギークピクチュアズ
- CD
- 高上晋、佐々木宏
- 企画、C
- 福里真一
- C
- 照井晶博
- AD
- 浜辺明弘
- D
- 松崎貴史
- Pr
- 若生秀人
- PM
- 井上架音
- 演出
- 八木敏幸
- イラストデザイン
- MAX DALTON
- アニメーション
- Tilby、Forbis
- Co
- Linq Concepts
- 楽曲
- Nino Rota 「Amarcord」
- 編集
- 市川渉(オフライン)、神田剛(オンライン)
- MIX
- 田岡政文
- SE
- 中野豊久
- 編集、MA
- デジタルガーデン
- BP
- 岩橋應、山本和毅、森田直幸、塚越彩有実、石丸圭吾
- NA
- 菅生隆之、Ginger W
- 声の出演
- Tommy Lee Jones、役所広司、杉咲花