公正取引委員会は4月22日、グーグルに対し、独占禁止法に基づく行政処分(確約手続き)を下したと発表した。グーグルが、LINEヤフー(当時=ヤフー)に提供していた検索連動型広告技術を制限していたことを巡り、独禁法違反の疑いがあるとして、審査していた。グーグルが提出した改善措置(確約計画)を22日付で認定した。
独禁法違反の疑いがあったのは、遅くとも2015年9月から2022年10月末までの間で、ヤフーが検索連動型広告を配信するのに必要な技術の提供を制限していたという。法第3条(私的独占)、同法第19条の第2項(その他の取引拒絶)、第14項(競争者に対する取引妨害)として問題視されていた。
グーグルがヤフーに検索エンジンや検索連動型広告に関連した技術の提供で契約したのは、2010年7月。締結に先立ち、両社は公正取引委員会に独禁法上の問題の有無について確認していたが、検索サービスや検索連動型広告の運営をそれぞれ独自に行い、広告主や入札価格などの情報を分離して、競争関係を維持することを踏まえ、技術提供自体に問題はないと回答していた。
しかし、グーグルは2014年、ヤフーとの契約内容を子会社を通じて変更。ヤフーもグーグルの代わりとなる技術供給者を得られず、検索連動型広告を継続するのが困難になっていたという。
グーグルは公正取引委員会に提出した確約計画で、ヤフーへ提供する技術を今後3年間、制約しないとしている。また、両社の独自性や情報が分離されている状態を引き続き確保する。
検索連動型広告は、グーグルの収益源の中で最も大きい。同セグメントは2022年10〜12月に前年同期比98%と前年割れしたものの、翌2023年1〜3月から復調傾向。直近の2023年10〜12月の検索連動型広告を含むセグメント売上は同比12.7%増の480億2000万ドルだった。
確約手続きは、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の締結によって、2018年12月に導入。独占禁止法に違反している疑いのある事業者と公正取引委員会との間で合意した上で、事業者が自主的に解決するための制度。
確約手続は排除措置命令や課徴金納付命令などと比べて早期に是正が図れる特長がある。確約手続通知を受けた事業者は、通知日から60日以内に改善を図る計画を提出する。認定されれば、独禁法違反とはならず、排除措置命令や課徴金納付命令を受けない。