※本記事は月刊『販促会議』5月号に掲載されています。
チュチュアンナ
デジタルマーケティング部 シニアマネジャー
西岡和也氏
新卒でJ.フロント リテイリンググループに入社し、コミュニケーション領域全般の業務に従事。その後、GINZASIXの開業に携わり、顧客コミュニケーション設計、会員制度構築、サービス企画を担当。現職では、チュチュアンナにて、リアル・デジタルの領域を横断して、コミュニケーション設計~施策立案~実行までを担当。
デジタル化した会員証から「顧客を知る」ツールへ
クッキー規制によって1stPartyデータを取得する必要性が高まったことで、自社アプリを開設し、マーケティングや販促施策に活用する企業はますます増えている。
女性向けのアンダーウェアや服飾雑貨、靴下などの商品を展開しているチュチュアンナもそのひとつ。2017年に開設した「tutuanna公式アプリ」は、2024年2月時点で330万ダウンロードを突破。年間のユニークユーザーは100万を超える。
さらに驚くべきは同アプリを経由したECの売上が、全体の50%を占めること。そのおかげで、LTVの伸長率は3年間で135%伸長している。同社の西岡和也氏によると、アプリ開設当初の目的は紙の会員証をデジタル化して、顧客データを一括で管理することだったという。
「アプリでは、紙で配布していたときの会員証のようなポイント機能に加え、ユーザー自身の購入履歴の確認や、アイテムのお気に入り登録、アンケート、そしてアプリ経由で買い物ができるEC機能を整えました。ユーザーにとって使い心地が良いように設計を意識することを最優先にしていますが、我々にとってはこれまで多店舗展開で培ってきた全国のお客さまのデータを取得し、『顧客を知る』ことが目的です」(西岡氏)。
ローンチ当初は、紙の会員証のデジタル化を目的にしていたという西岡氏。しかし、時代が進むにつれて同社内でアプリの役割が変化。EC・実店舗への送客や販促、購買履歴の取得と分析、アンケート機能によるユーザーとの双方向的なコミュニケーションなどによって取得したデータから、顧客を知るツールとして進化していったという。
どの会員が、どう動いているか まずは構造の理解から始める
同社がアプリを活用して顧客のLTVを向上させることができたのは、この「顧客を知る」ことが大きく関係していると西岡氏は話す。全社的な方針として打ち出している「顧客中心の施策展開」がアプリ活用でも成果を上げる要因となった。
「データを取得して、まず行ったのは会員顧客の全体像を把握することです。以前、当社では会員を一括りにしてしまい、どの会員がどんな動きをしているのかを捕捉できていない状態でした。当然ですが、会員と一概に言っても、皆が皆同じように流入し、商品を買って、離脱して、という行動をとるわけではないですよね。まずは“どんな顧客が、どこにいるのか”という構造を把握しなければ、顧客中心の施策も展開できないはずです。そこで行ったのが会員のセグメンテーションと会員全体の構造理解でした」(西岡氏)。
同社が具体的に行ったのは、会員顧客を「種別(横軸)」と「会員ランク(縦軸)」で9マスに分類し、それぞれのセグメントにおける人数構成比、売上構成比、年間購入客数、年間購入金額の洗い出し。その理解を前提に、LTVへの貢献度や課題のボトルネックを把握し、打ち手の優先順位を付けていった(図1)―――。
本記事の続きは、月刊『販促会議』5月号にてお読みいただけます。
詳しくはこちらから。
月刊『販促会議』2024年5月号
- 【巻頭特集】
- いま、LTVに向き合う理由
-ダイレクトマーケティング進化論-
- 【特集2】
- 知名度ゼロからどう売り伸ばす?
- 新興ブランドの販促戦略
- 【特別企画】
- 第16回「販促コンペ」課題発表!