(本記事は月刊『宣伝会議』6月号巻頭特集に掲載されているものです)
Indeed Japan
マーケティング本部 シニアディレクター
田尻祥一氏
2004年にアクセンチュアに入社。国内外の様々な経営戦略・事業改革プロジェクトに従事。2009年にデル・テクノロジーズに入社。アジア太平洋地域における営業企画や日本法人経営企画室室長を歴任。2013年からマーケティング統括本部にて本部長としてB2B及びB2C向けマーケティングを統括。2022年Indeed Japanに入社。
従来のコンセプトを刷新 赤楚衛二さん、中条あやみさん起用のCM
2004年にアメリカで設立されたIndeedでは、「We help people get jobs.」というミッションを掲げ、60カ国以上28の言語で求人サイトを展開している。日本では2009年11月にサービス提供を開始し、2013年に日本法人が設立された。
同社の認知度を一挙に押し上げたのが、2017年から放映を開始したテレビCMだ。斎藤工さんや泉里香さんなどのタレントを起用し、「仕事さがしはIndeed」のフレーズを軸にいくつものクリエイティブパターンを制作。その後、2021年には月間テレビCM放送回数ランキングで複数回トップになるなど、大規模な広告投資で急速な事業成長を実現してきた。
そんな同社が、2023年6月、6年ぶりとなるテレビCMの全面刷新を行った。新たなブランドキャンペーンのコンセプトは「いい未来は探せる」。雇用の仕組みや環境が変化する中で、将来に対し不安を抱えている人が増えているのではないかというインサイトを捉え、「新しい可能性に出会える場」として、ブランドを再定義した。
こうした同社の新マーケティング戦略を牽引しているのが、2022年11月にマーケティング本部シニアディレクターに着任した田尻祥一氏だ。
「私たちが目指すのは、あらゆる人々が、自分に合った仕事を見つけられる社会の実現です。しかし“あらゆる人々”というのは、ある意味ではSTPといったマーケティングのセオリーに反するもの。実際、テレビCMではポップで親しみやすいキャンペーンを行ってきたため、どちらかというとアルバイト・パートの雇用を望む求職者からの利用意向が高い状況にありました。一方、採用側の認知としては、正規雇用向けのサービスとして捉えられており、実際、多くの利用がありました。セグメントを絞らずブランド投資してきた結果、求職者の認知と求人の実需との間に歪みが生じたと言えますが、一方でチャンスとも言えます。求職者にとってのIndeedのイメージを変えることがビジネスの伸びしろだと考え、新たなキャンペーンの開始に踏み切りました」。
新たな方針として、従来のテレビCMだけでなく、ミドルファネルやロウワーファネルを含めた全体設計を重視。Webやソーシャルメディアにおけるデジタル施策とも連動させることを掲げ、今、メディアプランの見直しを図っている。
投資改革のためにMMMを内製
メディアプランニングにおいて広告投資の最適化を図るために田尻氏が行ったのは、MMMの導入だ。
「まず必要なのは、分析に必要なデータの整備です。またMMMには様々なモデルが存在するため、モデルの選定や外注・内製の検討も行いました。それぞれメリット・デメリットがありますが、Indeedにおいては、データサイエンティストチームが内製モデルを構築していたこともあり、日本においても同様に内製することにしました」。
…この続きは5月1日発売の月刊『宣伝会議』6月号で読むことができます。
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対象顧客選定のマーケティングとデータ活用術 - ・ROI追求と体験創出の両輪を回す
日産自動車のメディア戦略とクリエイティブ - ・Indeedが6年ぶりにテレビCMを刷新
新戦略、羅針盤となったのは内製した「MMM」 - ・8年で累計販売食数8000万を突破の「nosh」
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