遠くまで行ってほしいし、
ずっと近くにいてほしい。
汗だくで走る。
「補助輪なしがいい」と
言いだした娘を支えて走る。
転びまくり、泣きまくり。
これもう無理じゃない?
のあとにふわりと
なんの前触れもなく走りだした。
「やったー!」が遠くなっていく。
もう追いつけない。
手が届かないところまで、彼女は行く。
これからもきっと。
ぼくはいつか
お風呂なんかでほほえみながら
汗だくの今日を大事に思い出すだろう。
家族と愛とメリット
また電車内広告では、もうひとつのパターンのポスターも掲出されている。
最終回は
気づかないうちに
終わっていく。
「今日からシャンプー自分でやる」
と子どもが言う。
わたしは「いいよ」と言った。
(そっか)
昨日のが最後のお手伝いだったんだ。
二度と戻れない瞬間が
そうとは言わずに過ぎていく。
と思うと、
このたいへんな日々に
丁寧な気持ちを感じる。
流れていく泡。
初めてにしてはいい仕上がり。
「髪ふくね」
できることがまだ少しある。
家族と愛とメリット
ポスター広告について、栗田氏は「できるだけ個人的な文章に見えるようにすること。想像がふくらむように余白を残すこと。Xの投稿文くらいの文字数に近づけること。メリットらしいこと」などに気を配ったという。
広告のローンチ後、SNSを中心に、「全パパママが泣く」といった感動の声や、自身の子どもの成長と照らして切なく感じるといった声も。
「メリット」ブランドでは、「今回の新CMシリーズを皮切りに、これまで家族のしあわせを考えつづけてきたブランド価値をベースに、より一層“家族シャンプー”としての提案を強めていきます」としている。