「宣伝会議賞」中高生部門で5冠達成!1050本のコピーを生み出した源泉は「人と話すこと」

課題文や企業のタグラインにも切り口のヒントが隠されている

――「宣伝会議賞」に応募するきっかけは。

小学校4年生の時、国語の自主学習で「図書館の本にPOPをつくる」という課題がありました。そこで初めてキャッチコピーに出会って、言葉の面白さを知ったんです。その後5年生の時に読売中高生新聞を読んで「宣伝会議賞」のことを知って、自主的に取り組んでみました。(第5回中高生部門の)『こども六法』やペットボトルリサイクルのキャッチフレーズをつくって、先生に見せて褒めてもらえたのがすごくうれしくて。それで今回やっと応募できる!と挑戦したのです。

――コピーはどのように考えたのでしょうか?

電車の中や、帰宅して宿題が終わって思考が活性化されているタイミングでコピーをつくって、応募サイトに入力していきました。

コピーを考える際に大切にしたのが、課題の解説文に書かれていることです。例えばジェーシービーの場合は「JCBは、日本で生まれた唯一の国際クレジットカードブランドとして、安全・安心で便利なキャッシュレス社会の実現に取り組んでいます。」とあって、ロゴには「世界にひとつ。あなたにひとつ。」と書いてありました。ということは「世界」「日本」「ひとつ」というのが、企業が伝えたい重要なキーワードではないかと考えたんです。ひとつの枝に複数のぶどうの粒が連なるように、ひとつの文章のなかにたくさんヒントになる要素があって、それを一粒ずつつまんでいったらいいんだと気付きました。

目標は、全ての課題に応募すること。1本書いたら次!というように、ぐるぐる横断しながら発想を広げていきました。そうすると今回の場合は多くの課題で「オンライン」という共通項があることに気付いたんです。他の課題で調べたことが、別の課題のヒントにもなりました。

応募したコピーの多くは、実際に先生や友達との会話から生まれたものです。一度それをメモしておいて、句読点や漢字の表記に気を配ったり、「ジャラジャラ」ではなく「ヂャラヂャラ」と書いた方がいいかなとか、改行位置や見た目もいろいろ試しながら、コピーの形にしていきました。

――コピーづくりで難しかったことは何ですか。

複数の課題を行ったり来たりするなかで、同じようなカテゴリーの商品であっても異なる切り口が見えてきて、そこで悩むことはありました。例えば「イミュ」の場合は「ハトムギ化粧水を使うと美肌になれる」という切り口が考えられると思うのですが、「マルホ」の場合はそれとは真逆で「肌の悩みも気にしなくていいよ」という具合に。何を伝えるべきか、アイデアが右往左往してしまったんです。

それから「日本製鉄」の「鉄」をテーマにした課題は切り口を見つけることが難しかったです。最終的には、例えば缶詰やマンホール、スカイツリーが喋り出したらどうだろう?とか、擬人化作戦で取り組んだりもしました。

――応募期間中はどんなインプットをしていましたか。

土日に読売中高生新聞を読むようにしていました。それから通学中の電車や街中の広告や、テレビCMでよく見る企業名と一緒に使われているコピーを観察して、表現方法を勉強しました。またYouTubeショートやTikTokをよく見ているのですが、そこでもサムネイルやタイトル、概要欄から、どういう風に表現したら最初の1秒で人の興味を惹きつけられるのかを考えながら見るようにしていました。

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