もしあなたがその主張を知っているとしたら、それは谷山さんのこの考えが徐々に広告界に広がり、最初は新鮮だったものが、今ではすっかり主流の考えになったが故に、聞き覚えのある、あたりまえのものになった、という可能性があるのだ。実は本当に普遍性のあるコピー、普遍性のある広告表現には、そういったことがよく起きる、ということも、この本の中に書かれている。「好きだからあげる。は、なぜ名コピーなのか?」の章を読んでみてほしい。
そして、今回あらためて出版されたこの本は「増補新版」。新たに書かれた、本人によるぶあつい解説が付いている。いわば『広告コピーってこう書くんだ!読本』を、本人による副音声付きで読むような趣向である。前からも谷山さんの声、左右の耳元からも谷山さんの声。本の内容が旧版以上に、脳内にじわじわ浸透していくのは間違いがなさそうだ…。
幕末の長州において、もし吉田松陰の「松下村塾」に通っていなかったら、伊藤俊輔も、山県狂介も、のちに総理大臣になる可能性はなかっただろう。杉本昌隆八段に弟子入りしていなかったら、おそらく藤井聡太八冠は、…いや、藤井さんは誰が師匠でも八冠だったかもしれないが、とにかく!たった280ページほどで、あなたも「谷山クラス出身」になれるこの本。
もう一度問いかけよう。およそコピーライターを目指したり、いまよりももっといいコピーライターになりたいと思っている人で、この本を読まない、という選択肢はあり得るのだろうか?
福里 真一 (ふくさと・しんいち)
ワンスカイ クリエイティブディレクター/CMプランナー/コピーライター
いままでに2000本以上のテレビCMを企画・制作している。最近の主な仕事に、サントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、マクドナルド「夜マック店長」、富士フイルム「アスタリフト」、ユニクロ「LifeとWear」など。谷山さんとの仕事に、東洋水産「マルちゃん正麺」など。YouTubeチャンネル「広告ウヒョー!」に、なぜか出演中。
コピーライティングのベストセラー教本、待望の増補新版
『広告コピーってこう書くんだ!読本〈増補新版〉』
谷山雅計著/定価2,200円(税込)
2007年に発売された広告コピーのロングセラー書籍『広告コピーってこう書くんだ!読本』が、増補新版になって新登場。デジタルやSNS時代のコピーのあり方についても言及した、約2万5000字の新テキストを収録しました。「人に伝わる」「伝える」広告コピーを書くためのプロのエッセンスを学べる一冊。