企画のシンプルさと実現可能性の高さ
──初めて審査をされた時から、「販促コンペ」応募企画に対する印象は変わりましたか?
貞賀:やっぱり3年前と比べて応募数が増えましたね。プランナーや普通の社会人、学生など様々なバックボーンを持つ方が応募していますし、○○部門といったカテゴリを設けていないので、その分自由度の高い企画が多いのはずっと変わらない印象です。
來住:最初に審査員を務めた8年前と比べて、全体的なレベルが上がっているのは感じます。審査員初期の時は、どうにかしてどれかを上に上げないといけないのか……と悩むことも正直ありましたが、最近は逆にどれも落としたくないなと悩んでしまっています。
津田:本当にそう。作品全体のクオリティが底上げされていますね。逆にある種のテンプレートっぽさを感じさせる企画も増えてきているような気がします。
菊池:いかに自分らしい企画をつくっていけるかがより重要になってきていますよね。でもやっぱり自分が応募したときから、「人が動く実現性のある企画」っていう評価の軸は変わっていないと感じます。
──これまでの「販促コンペ」で、皆さんが特に印象に残っている作品はどのようなものでしょうか。
津田:一番記憶に残っているのは、原稿にぎっしりとその商品との個人的な物語を書き綴った作品ですね。「自由だな!」と思いましたし、やっぱり企画の根っこには人の情熱があるんだなと。
菊池:そういう熱意とか思いが見える企画はやっぱり印象に残りやすいですよね。あとは「これがあったらいいな」を感じさせるような、実現しているのが具体的に想像できるものは強いと思います。第12回でグランプリを獲得した「キャッツアイセイケース」や、去年ゴールドを獲得した「初日の電」などはまさにそういう企画でしたよね。
貞賀:その中でも、去年グランプリを受賞した「セトリレシート」の実現可能性の高さは目を見張るものがありませんでしたか?昔からあるレシートというものに歌唱履歴というエッセンスを足しただけといえばそうなんですけど、そのシンプルさが逆にアイデアとして強さを感じましたね。
來住:わかります。その手があったか!って感じで。それでいうと、14回グランプリの「オセリポ」も印象に残っていますね。誰もが知っているオセロなのに、石の置き方ごとの必殺技がこんなにたくさんあるんだという驚き。それに加えて、その技名をスマホが読み上げてくれて実況してくれるというテクノロジー面での工夫もあって、とにかく発見感がすごかったです。
津田:「オセリポ」は一次審査の時から抜群に光ってましたね。去年もやっぱり「セトリレシート」がとんでもなく光っていて。カラオケボックスって歌うだけじゃなくてその空間を誰と過ごすか、どういう雰囲気の会だったかが思い出として結構重要だったりするじゃないですか。そういった「思い出を残す」っていうカラオケの価値を可視化して、ほとんどお金をかけずに企画にしているのがすごいと思いましたね。