プロ野球はファンが最優先―経営企画視点のライオンズ流「シン・広報戦略」

プロ野球ファンは推しを「推す」仕掛けを待っている

西武ライオンズは、西武グループの中でイメージリーダーの役割を担っています。そして当社の事業ビジョンは「共に強く。共に熱く。」です。

西武ライオンズのビジネスモデル。提供:西武ライオンズ

ファンを増やし、ファンの満足度を上げ、売上と利益を増やす。それを選手に投資し、チームを強化する。強さこそ最大のファンサービスであり、魅力ある選手こそ最大のコンテンツです。その結果、ファンの満足度はさらに上がります。このサイクルを回すことで、事業ビジョンを体現していくわけです。

ホテル・鉄道・不動産のビジネスモデルとは違うため、従来までの広報戦略のアプローチとは変わります。

そのためライオンズの広報戦略を立てるにあたり、プロ野球ビジネスを長年取材している経済ジャーナリストに連絡を取り、話を聞きました。

すると「プロ野球はファンが大切。第一に考えるのはファンでなければならない。ファンは自分の『推し』を推したいので、推すための仕掛けを待っている。ファンと長くコミュニケーションを構築する必要のあるファンビジネスは、短期的な利便性の改善や企業都合ではなく、常にファンの気持ちを最優先に考えることが肝要」と教わりました。

これは、新規事業を企画する際に大切な視点であった「ゲインの最大化とペインの最小化」と置き換えることができそうです。

ファンが価値を感じる「ゲイン」を最大化し、ネガティブな「ペイン」を改善する。そして、球場に来場していただくファンを増やし、その観戦価値を高めて消費単価を上げれば、利益増につながります。来場者が増えれば、結果として球場内の広告価値も上がり、売上・利益にも貢献できます。この話を聞き、プロ野球興行のビジネスモデルがよく理解できました。

西武定番の応援スタイル「フラッグ応援」で声援を送るファンたち。提供:西武ライオンズ


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赤坂修平(西武ライオンズ 広報部長)
赤坂修平(西武ライオンズ 広報部長)

2000年コクド入社、2004年広報室へ配属、以降は西武グループ各社で広報と企画を相互に歩む。2006年プリンスホテル事業企画部広報担当、2009年に同部ゴルフ・スキー担当も兼務。2011年西武ホールディングス広報部、2018年に経営企画本部 経営戦略部。2019年に同本部 西武ラボ(新規事業創造)課長となり、2023年から西武ライオンズ 広報部長。

赤坂修平(西武ライオンズ 広報部長)

2000年コクド入社、2004年広報室へ配属、以降は西武グループ各社で広報と企画を相互に歩む。2006年プリンスホテル事業企画部広報担当、2009年に同部ゴルフ・スキー担当も兼務。2011年西武ホールディングス広報部、2018年に経営企画本部 経営戦略部。2019年に同本部 西武ラボ(新規事業創造)課長となり、2023年から西武ライオンズ 広報部長。

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