保育施設に広がるサブスク 紙おむつ使い放題サービスの需要拡大、BABYJOB

導入施設5100件を突破

子育てサポート事業を手掛けるBABYJOBは5月9日、保育施設と保護者の負担軽減を図るサブスクリプションサービス「手ぶら登園」の導入施設が5100件を超えたと発表した。全保育施設の10%に上る。2019年にユニ・チャームとの協業で開始した同サービスは、保育施設で紙おむつが月額制で使い放題になる日本初のサブスクで、保護者だけでなく、保育施設側の負担軽減も注力している。競合サービスは増加しているが、保育園事業で培ったノウハウを生かした独自の強みでトップシェアを維持。来年4月までに7000施設を目指す。

写真 おむつに名前を書いている写真
おむつに名前を書く手間も省ける「手ぶら登園」

同サービスを導入した保育施設を利用する保護者が、必要に応じて申し込むことで、施設に直接おむつが届く仕組み。料金は保護者が負担するため、保育施設側は導入費用がかからない点が特長だ。おむつのブランドはユニ・チャームの「マミーポコ」(月額税込2508円)、「ムーニー」(同3278円)の2種類を保育施設が選択。サイズは保護者がS、M、Lを選ぶ。

保育園に通う園児の保護者は通常、登園時に園児が履き替えるおむつを毎日持参している。大量のおむつを購入するだけでなく、1枚1枚のおむつに名前を書く必要もあり、大きな負担となっている。保育施設の負担も課題で、履かせるおむつを間違えないように、名前を都度チェックするほか、保護者がおむつを忘れた際に貸し出しを行うケースも多い。同サービスを導入することで、施設に直接おむつが届くため、登園時の荷物を減らすことができ、保育施設も確認事項がサイズだけとなり負担軽減につながる。

同サービスを導入した181施設へのアンケート調査では89%が満足しているという。保護者の満足度も高く、利用者の解約忘れを防ぐため定期的に確認メールを送っているにもかかわらず、解約率は低い。保護者からは「保育園に持っていくおむつがなくなったので、おむつの購入頻度が減って買い物が楽になった」、保育士からは「園のおむつ管理の負担が減り、より保育に専念できるようになった」などの反響が寄せられている。

写真 保育士がおむつを棚から取り出している写真
保護者だけでなく、保育士の負担軽減も図る

同サービスのスタート後、類似のサブスクサービスが増加しているが、イプソスの「保育園おむつサブスクリプションサービス浸透状況調査」(2023年6月)によると、同サービスは業界シェア1位を維持している。

保育園を運営している同社は、保護者だけでなく、保育施設側の目線で負担軽減につながるサービスを提供することで競合との差別化を図っている。入園時に同サービスを保護者に説明しやすいように、保護者向けのチラシを保育施設に提供しているほか、おむつの在庫状況に応じた発注提案も実施。保育施設の規模や形態に合わせてきめ細かなサービスを展開する。解約メールの送信も、解約忘れによるクレームなどが保育施設側に来ないようにする狙いがある。

長時間のおむつ着用や複数回の尿吸収による肌荒れなどを防ぐため、おむつのブランドにこだわりを持つ保護者は多く、おむつ業界で高いシェアを誇るユニ・チャームの商品を利用できる点が、競合サービスと比べた際の優位点になっているという。全国のユニ・チャームの配送拠点から発送するため、災害時でも供給が滞るリスクが少ない点も強み。非常時にも供給を継続できるため、自治体での導入につながっている。

保育施設への訴求策として、Webページで導入事例を公開。導入による効果だけでなく、サービス利用の背景や導入前の印象など、実際の声を紹介している。認可保育園や認定こども園など、様々な形態での実績や印象を伝えることで、幅広い保育施設が安心して導入できるようにしたい考えだ。

全都道府県での導入を達成しており、公共交通機関での登園が多い都心での利用が目立つ。東京都内で特に普及しており、認可保育所全3611施設のうち894施設が導入。公立保育施設での導入も進み、現在は70以上の自治体、約800施設で手ぶら登園を利用できる。広報担当の東ネネ氏によると、私立保育園は公立保育園の取り組みを参考にすることが多いため、自治体での導入を推進することで普及を加速させる狙いがあるという。自治体の判断を後押しするため、無料で最長2カ月の実証実験が可能なプログラムも用意している。

同社は紙おむつだけでなく「食事用紙エプロン・手口ふきサービス(2023年4月開始)」や「お昼寝用コットカバーサービス(2022年2月開始)」も提供しており、東氏は「おむつ以外のサービスも拡充し、保護者が子どもと手をつないで、手ぶらで登園できるサービスを目指す」と展望を語った。

BABYJOBは、ユニ・チャームに10年務めた上野公嗣社長が2013年に起業した「S・S・M」が前身。社会課題となっている待機児童問題を解決するため、全国で45園の保育園を運営している。一方、保育施設が増えるだけでは課題解決には不十分で、登園時の負担軽減も重要と考え、2019年に同サービスを開始。2020年には、日本サブスクリプションビジネス大賞のグランプリを受賞。コロナ禍では休園する施設が多かったが、感染予防のためにサービスを導入するケースも見られた。

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