クラファンで1350%達成のエコカップ 廃棄される「コーヒーかす」を使用 アサヒユウアス

一般販売とBtoBで年内1万個の販売を目指す

アサヒユウアスは5月14日、工場から発生するコーヒーの副産物を利用したエコカップ「Aroma Loop(アロマループ)」の一般販売を開始した。味の素AGFの工場で排出されたコーヒーの粉などをアップサイクルして開発。クラウドファンディングでは30万円の目標に対し、1カ月で400万円を超えるなど想定以上の反響があった。

環境負荷低減の観点だけでなく、コーヒーファンの注目を集めたことが好評の要因で、特に30~40代男性に人気だった。2022年に誕生したアサヒユウアスは、サステナビリティと事業の両立で黒字化を目指す考えだ。同社のECサイトで販売。BtoB向けの導入も推進し、今年中に1万個の販売目標を掲げる。


写真 商品 味の素AGFと共同開発した「Aroma Loop」。
味の素AGFと共同開発した「Aroma Loop」。「Black」と「Latte」の2種類を販売。価格は1760円(税込)

味の素AGFの工場では、原料のコーヒー豆から容器や梱包材まで排出物をリサイクルしている。今回のエコカップは、コーヒー豆の品種を切り替える際に発生する粉などを再利用する方法を模索し、開発に至った。アロマループ1個につき約9.6グラムの副産物を使用。クラウドファンディングサービス「Makuake」で3月8日から4月8日まで応援購入を募ったほか、ホテルやカフェなどへの導入を推進した。同社のコーヒー開発のノウハウを取り入れており、広い液面から発生する香りをカップ内にとどめているほか、二重構造で温度が長持ちしやすい形状となっている。

味の素AGFは、一般販売を通じて普及を促すほか、BtoB向けの商談も引き続き継続したい考え。ファンマーケティング推進部の垣沼碧氏は「SDGsが注目される中、今回のエコカップに限らず、無駄をなくすための取り組みを模索していきたい」と話した。

同商品は、2023年4月からアサヒユウアスが主体となって実施している、オフィスやカフェなどから出たコーヒーの副産物をアップサイクルし、サーキュラーエコノミーの構築を目指す「Coffeeloopプロジェクト」の一環。アロマループを開発する以前にも、コーヒーの抽出後に発生する「コーヒーかす」や間伐材の木粉などを活用したエコカップ「Coffeeloopカップ」をプロジェクト第1弾として展開している。

様々なパートナー企業と共創し、コーヒーかすの提供企業や「Coffeeloopカップ」の導入企業を増やしている。福岡市博多区の「ホテルオークラ福岡」やジェイアール西日本ホテル開発が運営するホテルなど、宿泊施設の導入事例もある。現在は約15社がカップを導入。コーヒーかすを提供している企業は約20社となる。ECサイトでも販売しており、2023年4月から2024年4月の販売数はBtoB向けとの合算で約7000個となった。

写真 商品 オリジナルロゴ入りの「Coffeeloopカップ」
墨田区と連携して開発したオリジナルロゴ入りの「Coffeeloopカップ」

自治体との連携も図り、昨年10月にはアサヒユウアスが本社を構える東京都墨田区と共同で「すみだCoffeeloopプロジェクト」を開始。区内のカフェや企業から発生したコーヒーかすでカップを開発した。区内のカフェに導入したほか、セブン&アイ・フードシステムズが運営するレストランチェーン「デニーズ」の全店舗でも導入された。同区のコーヒーかすの回収作業では福祉作業所の協力を得ており、障害者の就労機会の創出にもつなげている。

アサヒユウアスはアサヒグループにおけるサステナビリティ事業を展開する会社として、2022年1月に設立。間伐材を活用して開発した売れ筋商品「森のタンブラー」のほか、廃棄食材などを原料としたサステナブルクラフトビールの製造などに取り組んでいる。「サステナビリティを事業化する」ことを重視しており、SDGs推進と事業の両立を図っている。

広報担当者の宮本藍氏は「アサヒグループの中ではまだまだ小さい会社だが、共創案件にチャレンジすることで、黒字化を目指したい」と意気込みを語った。

5月9日には東京駅丸の内南口前のKITTE地下1階の東京シティアイで試飲イベントを開催。数量限定の前売りチケット2種(3000円プラン・2000円プラン)を販売し、3000円プランではアロマループをプレゼントした。

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