デザイナーのゴールは「デザインをすること」ではない

カオナビは「完成されていない組織」だから良かった

──広告業界から事業会社への転職を決意した時、マスメディアンにご相談いただき、カオナビへの転職を支援させていただきました。まずはその時のお話をお聞きしたいのですが、ご自身が好きなブランドや、なじみがある商品を扱う企業に行きたいとは思わなかったのですか?

思いました。興味がある企業には会いましたし、転職を決めるギリギリまで迷っていました。でも、社会をつくっていくのは往々にして企業や組織です。一つひとつの企業が強くなれば、社会をダイナミックに変えられると思って、企業のビジネスを支援するBtoBの道を選びました。

写真 人物 個人 長谷川亮
カオナビ
コミュニケーションデザイン室Head of Creative
長谷川亮 氏

バンタンデザイン研究所に在学中、佐藤可士和氏率いるSAMURAIで学生インターンを経験。卒業後はHAKUHODO DESIGNに入社し、アートディレクター永井一史氏に師事。ブランディングエージェンシーSIMONE、外資系広告会社グレイワールドワイド、アサツーディ・ケイ(分社後はADKクリエイティブ・ワン)を経て、2021年にカオナビ入社。2023年より現職。

──カオナビのどんなところに惹かれたのでしょうか?

1つはパーパスですね。「“はたらく”にテクノロジーを実装し個の力から社会の仕様を変える」という未来軸で語られるパーパスに共感しました。日本の人口は減少の一途をたどっています。この先、個の力を引き出して、効果的に発揮することが大事な世界になっていく。カオナビの活動を通じて、企業のなかの個が変わったら、社会に対してすごく大きなインパクトを出せるなと思いました。

もう1つは、「完成されていない組織」だったからです。誤解を招きそうな表現ですが…(笑)、何が言いたいのかというと、僕は事業会社でBX(ブランドエクスペリエンス)をつくることに興味があったので、それが実現できる企業に入りたいと思っていました。カオナビは上場して第二創業期を迎えたタイミングでしたから、組織にもブランドにも余白が多く、ゼロベースでアイデアを出せると思いました。経営陣もクリエイティブの力に期待してくれている印象を受けましたし、うってつけだったんです。

──「BXデザイナー兼アートディレクター」として入社したと伺いました。国内外の広告会社でクリエイティブディレクターを務めた経歴をお持ちですが、カオナビではクリエイティブチームをまとめるポジションからのスタートではなかったのですね。

事業会社で働くのは初めてだったので、いきなり組織を束ねる立場に就くのは難しいと自分でも思っていました。当時は、自分でBXを経験することの方が大事でしたね。

──思い描いたようにBXに携われましたか?

それはもう、息つく暇もなく(笑)。僕が入社したとき、ちょうどカオナビのリブランディングが動き始めていて、すでにパーパスやロゴが出来ていました。それを社内外に浸透させていくためのリブランディング推進チームが立ち上がり、そのリーダーに抜擢されました。

──入社してすぐにですか?

そうですね、まだオンボーディングの期間でしたが、このプロジェクトを通じて自社理解が深まったように思います。リブランディングは超重大プロジェクトではありましたが、広告会社のクリエイティブディレクターとして培ってきた経営陣と対等に渡り合う力や発想力、実行力を発揮して成功させることができました。この経験で自信がついたんでしょうね。あっという間に会社になじめました。

 


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荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)
荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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