映画『笑いのカイブツ』は、死相が出るほどの過酷な撮影だった(岡山天音)【前編】

同世代の出演者が多く、役と現実の人間関係がリンクする現場だった

権八:あとこれ、なんといっても途中から次々と豪華な共演者が、「あれ、あの人だ」「今度はあの人がでてきた」みたいな感じで。この楽しさもありますね。みなさん同年代の方たちですよね。(仲野)太賀くんにしても。

岡山:そうですね、ツチヤが深く接点を持つキャラクターは基本的に同世代の方々が多かったですね。

権八:この辺の俳優の方たちとの交流はあるんですか?

岡山:10代から俳優をやってるので、事務所入った頃に多かった学園ものとかで同世代とは基本的に顔を合わせています。菅田(将暉)くんや太賀くんとは1本目とか2本目の仕事で同級生として共演していて、それからもう10年以上の付き合いですね。ふたりとも先輩なんですけど、付き合いは長いです。

権八:2人ともいい役だよね。

中村:めちゃくちゃいい役ですね。

岡山:そうですよね。ふたりとも全然方向性の違うキャラクターですけど。ふたりとの共演は緊張もしましたし、嬉しさもあり。でも皆さんご存知だと思いますけど、本当にエネルギッシュなお芝居をされる方たちなので芝居してても楽しかったですし、やりやすかったです。

全然質は違いますけど、ツチヤにとっては重量のある関係値の人たち、他の人との接点が薄い分、濃い繋がりを持ってる人たちではあったので。松本(穂香)さん演じたミカコもそうです。松本さんも何度も共演させていただいていて、それがお芝居にもにじんでしまうというか、実寸大の僕らの関係値と役の関係値が近いというか。ツチヤを演じる上で皆さんには力をお借りしましたね。

権八:彼女は実在の彼を支えた存在だと思うんだけど、菅田くん演じるピンクはどうなんですか?独特な存在で、この人って実在したのかしらって気になっちゃったんですよね。

岡山:実在してます。

権八:してる人なんだね。

岡山:みんな実在してるらしくて。だから菅田くんはほぼほぼ大阪での撮影だったんですけど、ツチヤさんが菅田くんの撮影のときに見学にいらっしゃってて、菅田くんは実際のピンクがどんな人だったのか、ツチヤさんにいろいろ取材してましたね。一緒にカラオケ行ったってエピソードを聞いたり、そのとき何を歌ってたのかを聞いたりしてました。事実は小説より奇なりじゃないですけど、ツチヤの人物像もそうですし、「本当なの?」って思っちゃうところが要所要所にありますよね。でも基本的には本当の話だったり本当の登場人物だったりするらしいです。

中村:天音さんご自身は、ツチヤタカユキさんとお会いして、事前に演技の分析的なことをしたりはされたんですか。

岡山:いや、まったくしてないですね。撮影前にお会いもしてないですし、ツチヤさんは有名な方なので密着されてる映像があって、それを見たりはしましたけど、撮影期間にお会いしたのは現場に見学にいらっしゃったときですね。でもその時も挨拶ぐらいでちゃんとお話はしてなくて、終わってから試写のあとに飲みに行ったりはしましたけど。

権八:あと太賀くん演じる西寺の漫才コンビのベーコンズ、あれの漫才の指導も令和ロマンが。

岡山:そうなんですよね。

権八:そういう意味ではお笑いファンも見どころ満載ですよね。結構長尺で漫才するところもあるじゃないですか。

岡山:フルですね。

中村:すごかったですね、あれ。

権八:そうそうそう。あれは、ツチヤさんが実際に書いてくれた書き下ろしのネタなんですよね。

岡山:そうです。

権八:で、令和ロマンも現場で、……現場だったのかな?

岡山:いや事前に講義じゃないですけど、ネタがあって、それをただやればいいって話ではないので、ディティールどう表現していくかについて板橋(駿谷)さんと太賀くんのお2人が指導を受けたって話を聞きました。

権八:だからもう、見事にやってましたよね。

岡山:いやすごいですよね、本当に。これも大変ですよね、芝居とまた違う機能を要求されてたので。ツチヤがネタを見てるシーンもあるんですけど、僕も本番以外全部は見せてもらってなくて、本番一発で丸々見してもらってって撮り方を監督がしてくださったので、そういうのもとても刺激的でしたね。


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