現場の仕事と「教科書」がいつも食い違うのはなぜ?
—— 井上さんは『なぜ教科書通りのマーケティングはなぜうまくいかないのか』を読んで、北村さんに直接ご連絡されたと聞きました。そもそもこの本のどこに注目されたのですか?
井上:タイトルが気になって手に取りました。事業会社でマーケティングの仕事をしていると、途中でどうしても想定外のことが起きてきます。そこに教科書通りのマーケティングを当てはめようとしても、上手くいかない、違和感がある、そして自分なりにカスタマイズを試みていく…という状況が日々あり、その課題感とぴったり合致したので。
もうひとつは、広告会社の方が書くマーケティングの本って「この新しい手法を使えばうまくいきます」みたいなポジショントークが多いですよね?でも、電通の方がこのタイトルの本を書いたと知って「あれ?ポジショントークが成り立ってへんな」と。それで興味を持ちました(笑)。
北村:ありがとうございます。確かに「これまでの手法ではうまくいかないので、この新しい手法を使ってください」といったある種の“圧”を感じる本は多いですよね。それは、それ自体が広告会社のマーケティングだからということがあると思います。
一方で、私が日々お会いするクライアントさんの中には、「前職でうまくいった自分のやり方」に強いこだわりを持っている方もいらっしゃいます。それが常にうまくいくわけではないので、「この商材の場合はちょっと違うかもしれません」などとやんわり伝えるのですが、わかってもらえないことも多くて…。
ですから、ひとつのやり方にこだわらずに、時と場合に応じて使い分けていきましょう、ということをこの本では書きたかったんです。
井上:この本の中で最初に共感したのが、「認知の誤解」のくだりでした。認知率って、上げよう上げようとするけれど、そう簡単に上がらない。アクションがゴールにつながらないという課題を抱えていたので、「そもそも、ブランド認知率と広告認知率って違いますよね」という話を読んで、なるほどと。
ほかにも自分がこれまでもやっと感じていた疑問について多く書かれていたので、どんどん読み進めていって。予想外だったのは、最後に「北村塾」の話があったことです。いま、社内でマーケターの育成にも取り組んでいるんですが、なかなかうまくいなかくて。本の中にはいい問いもいっぱい載っていて、これは話を聞きたいぞと思って連絡したんです。この本で、今抱えている課題を一気に解決できそうだ、と。
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