マーケティングの教科書が教えてくれない「使い分け」「引き算」の技術(北村陽一郎×井上政人)

他社の成功事例を取り入れる時は「引き算」を意識する

—— 他社の成功事例をそのまま取り入れてもうまくいかない、という話は本の中にも出てきますね。

北村:皆さん本当によく勉強されているので、例えば上司が他でうまくいったやり方を聞いてきて「あのやり方でやってみて」と指示する、といったケースは多いです。ただその時に、新しい施策を従来の施策に上積みしていってしまう。マーケティングはうなぎ屋さんのタレと同じで、「なんでも継ぎ足せばいい味になる」というものではありませんので、新しい施策を始める際には「まず、何をやめるかを考える」ことが肝心だと思います。

井上:「やらない」ことを決めるのって、怖いことですからね。やらない理由よりもやる理由のほうが通りやすいですし、「やめた時の試算をしろ」と言われるとちょっと面倒だし(笑)。そういうことがネックになって、何もやめずに新しい施策を積み重ねていきがちです。

北村:「やらない選択肢」が実は大事なんだと思います。さっきのお話で言うと、たぶん、やめるところに「アート」が必要なのだと思います。やめるべき理由を数字で示すというのはなかなか難しくて、そこにある種の直感力や、判断力が必要になる。I-neさんの場合は、そこに確固とした考えがあるんじゃないでしょうか。

井上:I-neはミッションドリブンな会社なんです。「We are Social Beauty Innovators for Chain of Happiness」がミッションで、「世の中に幸せの連鎖を広げる」ことを目指しています。すべてのブランドはこのミッションを実現するためにあると考えるので、慣例の手法等にとらわれすぎないところがあります。


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