購買起点でのテレデジ広告統合運用はどこまでできる?「データクリーンルーム」で加速する、新たな連携の形

佐々井:「購買に対する広告の効果を可視化してほしい」「効果の可視化をもとに購買起点の広告予算最適化を実現したい」というニーズが増している一方、価格や棚の位置など、複数の要因が絡まって購買に至っていることもあるので、そこの切り分けが難しいですよね。特に低関与商材に関しては、店頭だと非計画な購買行動が発生するため、クライアントからも「購買意向が上がっているのに、売上が増えていない」、あるいは逆に「購買意向は変わらないのに、キャンペーンのときに売上が上がった」といったお話をいただくことがあります。今後は、計画購買・非計画購買の層や、オフライン・オンラインで買い物する人をどう定義して戦略をつくっていくかということが重要になっていくと思われます。

深田:購買にはいくつもの要因が複雑に絡んでいるので、単発のキャンペーンで終わってしまうと知見が貯まらず、もったいないなと感じています。各回の結果を分析し、知見を生かしながら、長期的視野でのプラニングが実現できればと考えています。

――楽天グループと博報堂DYホールディングスのジョイントベンチャーである「楽天データソリューションズ」の設立を通じて、購買データを活用し、購買起点の広告メディアプラニングも提案していると聞きました。

深田:広告投資効果の可視化の精緻化に資する必要なデータアセット自体はすでに保有していたのですが、その価値をクライアントへ直接届けるところに困難がありました。そんな時、博報堂DYグループさんに「楽天のデータアセットがあれば、こんなことができる」と活用していただける形になったのは良かったですね。

また、ステークホルダーが多いこともデータ連携の妨げになっていたのですが、「データクリーンルーム」といった個人情報を保護し、異なる企業間でデータを安全に共有するための環境ができあがったことで、ようやくメディア接触と購買をつなぐという構想を実現できるようになってきました。

佐々井:楽天グループとの共同の取り組みの中では、購買起点でテレデジ横断の統合運用を可能にするTele-Digi AaaS for Purchase※というソリューションも開発しました。オンライン・オフラインでの購買をテレビ・デジタルのデータと掛け合わせることで、人・行動・結果の詳細を明らかにすることが、できるようになりました。

深田:購買している人が明らかになったことで次のアクションやキャンペーンにつながる提案ができるようになっていくと考えています。将来的には、短期的な投資対効果指標であるROASではなく、長期的なLTVに近いモデルを目指していきたいです。

佐々井:データの充実と技術進歩によって、「購買意向があるか、ないか」から始まって、「買う頻度」であったり、「買ったのは誰か」であったり、「どこで買ったのか」など、分けようと思ったらいくらでも細かく分けることができるようになりました。しかし、細かいターゲティングによる可視化が最終目的ではなくて、「それらを用いて、次のキャンペーンにつながるヒントを導き出すことがバリューである」ということは念頭に置いておく必要があると思っています。

――今後は、どのような価値をクライアントに向けて提供していきたいと思いますか。

深田:楽天グループが持つ、「楽天エコシステム(経済圏)」という基盤を生かしたソリューションを構築していきたいですね。楽天市場でやっている販売施策と、ブランド宣伝でやっている施策などがシームレスにつながり高い効果が実感できるようなプラットフォームにしていければと思います。

佐々井:今回の2社との協力で生まれたものを十分生かせるようにしていきたいですね。例えば、一貫性を持ってPDCAサイクルを最後まで回せるようなプランニングフローを実現したり、その上で、広告だけにとどまらず、棚を取っていくだとか、店頭施策であるとか、立体性を上げていけるようなプランニングができればと思います。

advertimes_endmark

編集協力:博報堂DYメディアパートナーズ


1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ