自分なりに活用することで、クリエイティブ・サイエンスは真価を発揮すると思う(廣渡良)──『クリエイティブ・サイエンス ココロを動かす11の手法』に寄せて

『宣伝会議のこの本、どんな本?』では、弊社が刊行した書籍の、内容と性格を感じていただけるよう、本のテーマを掘り下げるような解説を掲載していきます。言うなれば、本の中身の見通しと、その本の位置づけをわかりやすくするための試みです。今回、取り上げるのは、松井正徳による『クリエイティブ・サイエンス  ココロを動かす11の手法』。かつてコピーライター養成講座上級クラスで、この手法を学んだコピーライター廣渡良氏が本書について紹介します。

 

私が初めて著者の松井正徳さんと出会ったのは、宣伝会議コピーライター養成講座 上級コースのことでした。当時の私は、良いコピーと自分のダメなコピーとの違いをうまく言語化できず、日々悶々としているばかり。そんな中、松井さんから「良い広告やコピーとは何か」を示す明快な理論──クリエイティブ・サイエンスを教えていただいたことは、私にとって大きなターニングポイントになりました。

『クリエイティブ・サイエンス ココロを動かす11の手法』には、人のココロが動く広告・コピーに対するロジカルな考察から、実際にココロを動かすための実践的な手法の数々がまとめられています。良いコピーに到達するためのヒントになるだけでなく、好きなコピーを実際とは異なる表現で書き直すといったトレーニングにも活用できます。私が上級コースに通っていた頃は、課題で書いた自分のコピーがどの手法に当てはまるか整理し、あまり書けていない手法を試すなど書き癖の矯正に役立てていました。

そうやって試行錯誤を繰り返すうちに、自分でも「あれ、今まではこんなの浮かばなかったぞ」と思えるコピーが、ある日目の前に現れると思います。そのときあなたはきっと、以前よりもコピーを書くことが楽しくなっているはずです。

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写真 人物 廣渡 良

廣渡 良

スパイス 第二制作室 コピーライター
印刷会社や制作会社で10年近く営業職を担当した後に、32歳でコピーライターに転職。第61回宣伝会議賞 協賛企業賞 受賞。

 
写真 商品 『クリエイティブ・サイエンス  ココロを動かす11の手法』

『クリエイティブ・サイエンス  ココロを動かす11の手法』
松井正徳著
定価:2200円(税込み)

本書は、現在クリエイティブディレクターとして活躍する著者が、若手の頃に経験したことに端を発しています。広告制作の現場で、先輩それぞれが語る「正しい広告とはこうである」というメソッド。それぞれが全く違うことを話しているにもかかわらず、そのどれも世の中で話題になったり、面白い広告をつくっている。「これは自分には見えてないだけで、その全ての根源のところで、もととなる統一理論があるのでは」。そう思い立ち、著者が独自に広告を分析し、考察を続ける中で編み出したのが「クリエイティブ・サイエンス」と名づけた「人のココロを動かす」11の手法です。著者は自分が「よいと思う広告」を分析・体系化して、11の模式図に落とし込みました。「感性」や「なんとなく」ではなく、「論理的な説明」と「明確な効果」を目指したい。本書は、そう考える人に贈る表現の実践書です。




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