俳優の仕事は、チームが作り上げた台本を全力で表現すること(岡山天音)【後編】


今後の目標はヘリに乗って夜景を見ること……!?

権八:僭越ながら今思い出したんですけど、主人公のツチヤはすごく若いじゃないですか。だから若い人はどう感じるかなんだけど、僕がCMクリエイターとしてやっていくときに、当時大先輩の白土(謙二)さんって先輩というかレジェンド的な人がいて、「ヨーイドンで始まって最初の5年ぐらいのうちの、特に最初の2年ぐらいを死ぬ気でやれば、絶対頭一つ抜けられるから」って言われたんですよ。それを真に受けて、とにかくそのつもりでいたというか。程度は全然違うんだけど、同期とかに「俺もう違うからお前らと」みたいな。

全員:あはは。

権八:そういう嫌な感じが出てて。それを今急に思い出した。

岡山:若さもありますしね。

権八:若さもあって、感じ悪くて。あとさらにもっと上のレジェンドの小田桐(昭)さんって人がいて、澤本さんが「CREATOR OF THE YEAR」っていう賞をもう何度も獲られてるんだけど、僕は学生のときに、「君は20代で『CREATOR OF THE YEAR』を獲れるから獲れ。そのつもりで最初からやれ」と言われてて。最初から焦れって言われて、ずっと焦ってたんですよ。「それやんなきゃいけないんだ」と思って。で、結局1回も取ってないんです。27くらいで会社を出ちゃったんで、取る資格がなくなっちゃったんだけど。

そのある種の若さというか、ある時期の「絶対にものにするんだ」っていう熱、おこがましいんだけど、共感できるところもできないところもいろいろあるんだけど、その部分では、ちょっとエンタメを志す人たちと我々の雰囲気が近いのかなと感じるところがあって。だから余計に見てて辛かった。「こういうのあったな」と思ってしまって。

岡山:そうですよね。ほとんどの方がそうだと思いますけど、全然違う仕事をされてるとまた見え方も違ってきますもんね。

権八:違ってくるね。

岡山:お子さんがいる方は片岡礼子さんが演じられたおかんに感情移入して見られるのかなと思いますし、見え方によってはツチヤに対して「なんやこいつ」って方もいらっしゃると思いますし、逆にツチヤと同期しちゃう人もいると思いますし。

中村:Web野郎中村は、前原滉さん演じる氏家。先輩の構成作家なんですけどバランス取り役で、あっちに私はわりとなんか「ああ、つらい!」って胸を刺されることが。

権八:でも確かにそうだね。グッときますよね、バランサーっていうか、(仲野)太賀くん演じる西寺からは「あいつがいるとうまくいくんだよ」って言われるような。

澤本:そうそう。

権八:それも大事じゃないですか。生きてると。

中村:そうなんですよ。そういう人もいっぱいいるじゃないですか。「なんであの人いるの」って感じだけど、「でもあの人がいるとうまくいくんだよ」みたいな人。

権八:そういうのがツチヤからすると許せないわけですよね。

岡山:監督も最初から、誰か悪い人がいてツチヤが追い詰められてるというよりも、ツチヤが見る世界、尖った色眼鏡というかそういうものによって、ある種ツチヤが勝手に追い込まれていくようなものにしたいっていう話をされてました。わかりやすく「こいつが敵です」ってことではないので、やっぱ氏家は大事な人だと思いますし、ああいう立ち回りができるってそれはそれで本当に才能だと思います。だから本当に面白いですよね。ビビッドで極端なキャラクターが真ん中にいる映画なので、見る人の意見もまたビビットになるんじゃないかなと思います。

中村:そんな『笑いのカイブツ』、もうぜひ見ていただきたいです。そしてせっかくですので、今年新たにチャレンジしてみたい分野とかやってみたい目標があれば教えてください。

岡山:毎年のことなんですけど、去年よりも楽しくしたいです。

全員:あははは。

岡山:難しいですよね。それはそうだと思うんですけど、時期によって短期間で周りにいる人だったり環境が変わっていくので、時期によってモードや気分が左右されやすい仕事だというか、固定されたチームがない仕事なんですよね。だけどそれにあまり踊らされず、キャッチャーとしての腕を磨きたいというか、どんな球が来てもキャッチできる、こっちの手腕次第で面白がれるような引き出しや見聞を深めていきたいですね。あと最近都内でヘリコプターに乗って夜景が見れるってことを知ったので、ヘリには乗っておきたいですね。

全員:ははは。

岡山:夜景大好きなんですよ。この間も地方に行ったときに見て。夜景ってやっぱり山から見下ろすのがベストなんですけど、車がないとなかなか夜は行けないので。この間は県庁みたいなところから夜景見下ろしたんですけど。地方に行くときは毎回夜景スポットを調べて、でもたいてい山なので悔しい思いをしてます。で、ヘリって夜景フェチからすると最高だなと思って。だから目標はヘリに乗ることですかね。

中村:それ20秒自己紹介とかで言ってほしかったですけどね。夜景フェチだったんですね。面白い。

岡山:それだったら20秒以上喋っちゃいましたね。

中村:というわけで、そろそろお別れのお時間が近づいておりますが、改めまして『笑いのカイブツ』、ぜひ観てみてください(編集部中:2024年5月現在「目黒シネマ」で公開中)。まだ見てないリスナーにワンプッシュということで、岡山天音さんからメッセージを一言お願いします。

岡山:とにかくマグマのような映画だと思います。僕の血液だったり、いろんな体液をスクリーンにぶつけたつもりですので、2024年を走り抜けるガソリンをチャージしていただけたらなと思います。お願いします。

中村:いやでもまさにそんな映画になってそうな気がするんですよね。しますよね、なんか「俺もやんなきゃまずいな」みたいな。

岡山:うれしいです。

権八:ね、熱量がすさまじかったですね。

岡山:ありがとうございます。

中村:そして、映画『ある閉ざされた雪の山荘で』(2024年、監督:飯塚健)も同時期に公開されております。こちらは?

岡山:これはまた全然違うお話で、東野圭吾さんのわりと昔の作品の実写化なんですけど、ある劇団に所属する俳優たちの密室ミステリーというかサスペンスというか、そういうお話で、こっちも同世代の俳優さんたちが集まってるワンシチュエーションの群像劇ですね。こちらでもかなりアクの強い役を演じてます。

中村:面白そうですね。これ聴いて改めて岡山天音ファンは『笑いのカイブツ』も見て、この映画『ある閉ざされた雪の山荘で』もチェックしてみてくださいませ。今夜のゲストは映画『笑いのカイブツ』主演俳優の岡山天音さんでした、ありがとうございました。

岡山:ありがとうございました。

advertimes_endmark


1 2 3 4
すぐおわアドタイ出張所
すぐおわアドタイ出張所
すぐおわアドタイ出張所
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ