商品紹介の原稿作成がきっかけで、コピーライターに 異業種からの転身

企業のマーケティング施策が効果の最適化に向かい、明確な成果が求められるようになる中で、それぞれのクリエイターの仕事と役割はどのように変化していくのでしょうか。それはまた、キャリアや仕事のスタイルにもどのように影響を与えていくのか――。実際のプロジェクト例なども交えながら、考えていきます。

※本記事は月刊『ブレーン』2024年6月号 「広告」多様化の時代 クリエイターの仕事と役割はどう変わる? に掲載している内容から転載しています。
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現在活躍するコピーライターが誰しも、最初から広告のキャリアを教科書通りに歩んできたわけではない。2022年にTCC 新人賞を受賞した中島優子さんは声優や営業事務の仕事を経てコピーライターとなった。未知なる広告業界に飛び込み、今も進み続ける理由とは。

写真 人物中島優子

ビーコンコミュニケーションズ シニアコピーライター
中島優子(なかじま・ゆうこ)

好きなモノが少ないことがコンプレックス。でも、コピーや企画を考えることは好き。もっと好きなモノに出会えないかと期待しつつも、今のところその兆しはない。多摩美術大学・日本画科卒。TCC新人賞、OCC賞、ACCゴールド、販促コンペ2年連続ゴールドなど受賞。

興味を追ってたどり着いた広告業界

やりたいと思ったことはどんどん飛び込んでいく性格で、コピーライターと名乗れるようになるまでには紆余曲折がありました。

子どものころは、漫画家か声優になりたかったんです。大学は漫画家を志して美大に入りましたが、課題を提出するたび、同級生たちと比べ「私には絵に対する情熱も才能も足りない」と感じるようになりました。「ならば声優を」と切り替え、養成所に通い、小さな声優事務所に所属することができました。

大学卒業後もアルバイトをしながらたまに声優の仕事をする日々が続いていたのですが、なかなか芽が出ませんでした。その後、「そろそろ正社員として働いた方がいいのでは」と、総合インターネット会社の営業事務として就職。ここで大きな転機がありました。

業務の中で、自社サイトに載せる簡単な商品紹介の原稿を書く機会があったんです。昔から文章で表現することも好きだったので、その楽しさにはまっていきました。ただ、文章を評価できる方が社内にいなかったため、自分の文章がしっかりと機能しているのか、どうしたらもっと商品を訴求できるのかがわかりませんでした。

そんな中、職場の仲間から紹介されたのが、谷山雅計さんの著書『広告コピーってこう書くんだ!読本』(宣伝会議刊)。いいコピーを書くための“発想体質”になる方法や、人の心に響く言葉のつくり方など、自分のあらゆる疑問が全て解説されていて、感動したことをよく覚えています。

広告コピーってこう書くんだ!読本〈増補新版〉
4月11日発売/谷山雅計著/定価2,200円(税込)

 

谷山さんが宣伝会議でコピーライター養成講座の講師をされていることを知った私は、仕事をしながら通い始めました。当初はライティングの基礎を学びたいと思っていましたが、講師の方々がとても楽しそうにコピーやCM制作の話をされるのを聞くうちに、この業界に惹かれていったんです。

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当時はコピー年鑑の内容を書き写したり、講座の仲間と集まって勉強したり、広告について議論したりと、いろいろ取り組んでいましたね。

そうやってコピーの基本となるスキルを身につけていった結果、レマンという老舗の広告制作会社にコピーライターとして転職することができました。

ポスターやパンフレットなど印刷媒体のコピーの仕事が中心だったのですが、だんだん欲が出てきてしまって。CMやデジタルの仕事にも挑戦したいと考え、3年ほど勤めた後にビーコンコミュニケーションズに入りました。


イメージ cmカット モンデリーズ・ジャパン「リッツ」のテレビCM「飾らないおもてなし」篇(15秒)
中島さんが手がけた、モンデリーズ・ジャパン「リッツ」のテレビCM「飾らないおもてなし」篇(15秒)。「最高のおもてなし」とはたくさん用意をして歓待することではなく、気楽な集まりの中にある、飾らない会話や笑顔であるとメッセージングしたCM。

たくさんのクライアントの仕事を経験していく中で「私はコピーと企画の仕事が好き」という実感が湧いてきました。コピーライターは、さまざまな人の考えや行動を変えるための「言葉」を紡ぐことが仕事です。どんなことにも飛び込んできた自分の人生経験が、ここでは全て武器になる。そのとき、自分の中にこの仕事への情熱があることに気付いたんです。

まだまだ修行中の身なのですが、今のところ、コピーへの情熱が冷める気配はありません。日々言葉と向き合い、楽しみながら頑張っているところです。最近では声優の経験を活かして、ナレーションを自ら務めたりもしています。これからも、失敗を恐れない自分の性格を活かして、たくさん失敗し、たくさん人生経験を重ねていきたいと思います。

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月刊『ブレーン』2024年6月号

【特集】「広告」多様化の時代 クリエイターの仕事と役割はどう変わる?


写真 パース・イメージ 月刊『ブレーン』2024年6月号の内容

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▼特集のトピックス

  • スタッフリストからおさらい
  • 広告制作の基本フロー
  • オンワード樫山/23区
  • 「23区JAPANESE WOMEN’S
  • STANDARD Anne in TOKYO」
  • Netflix『三体』
  • 「YOU ARE BUGS
  • お前たちは、虫けらだ」
  • 阪神タイガース
  • 「Thank you,89!
  • 野球よ、ありがとう。」
  • AIが浸透する未来
  • CDとADの役割は
  • どう変わる?
  • 奥野圭亮(CD)×井本善之(AD)
  • 自分なりの
  • 研究テーマを持つことが
  • 仕事を豊かにする
  • 引地耕太(CD)×赤川純一(TD)
  • 「ゴールを決める人と
  • ゴールまで連れていく人」
  • 城殿裕樹(Pr)×荒木一也(PM)
  • 異業種・他部門からクリエイターへ
  • 「私のキャリア」
  • 植木沙織(東急エージェンシー)
  • 山﨑晴太郎(セイタロウデザイン)
  • 中島優子(ビーコンコミュニケーションズ)

コピーライター養成講座 基礎コース 東京教室・大阪教室・福岡教室

概要
開講日:2024年9月25日(水)/30日(土)、東京教室のみ平日クラスと土曜クラスの2クラス制
講義時間 :平日クラス:毎週月・水の19:00-21:00、土曜クラス:毎週土曜13:00-17:20(休憩含む)
講義回数:40回
受講形式:教室受講(宣伝会議セミナールーム)、オンライン受講(Zoom)から選択可能
受講料金:170,000円(税込 187,000円)
詳しくはこちら




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