WalmartとCoca-Cola、リテールメディアの取り組み
まずは昨今、話題のリテールメディアについての議論からレポートしよう。今年のPOSSIBLEは、Walmart、Targetなど米国巨大小売企業によるセッションや、Coca-ColaとWalmartの対談セッションが行われ非常に注目のテーマとなっていた。
Walmart のEVP兼チーフ・レベニュー・オフィサーであるセス・ダレールが基調講演を担い、リテール・メディア・ネットワーク(RMN)は、マーケティング戦略を再構築する極めて重要なプラットフォームとして台頭していると主張した。RMNの登場によって小売業界は大変革期が訪れ、小売業が単に商品を販売するだけでなく、強大なメディア事業体になっているという。
さらに、WalmartとCoca-Colaが対談し、Walmartのリテールメディア部門であるウォルマート・コネクトは、従来の広告から、オンラインと実店舗の両方で顧客を取り込むデータ主導のアプローチへの移行を推進しているという。このアプローチによって、売上を促進するだけでなく、ブランドの認知度や顧客ロイヤルティの向上に貢献しているというのだ。Walmartの主張では、現代のリテールメディア戦略は、ディスプレイ、動画広告、高度なDSP統合など、幅広いデジタルタッチポイントを包含し、オンライン・オフラインの様々なチャネルにおいて、消費者と広範で総合的なエンゲージメントが促進されていると主張した。
このセッションで焦点となったのは、Coca-Colaがリテール・メディアを通じて新製品を発売するに至った、「ウォルマート・コネクト」とCoca-Colaのコラボレーション事例である。Coca-Colaは、若年層に文化的に共感する製品を惹きつけることを狙い、「ウォルマート・コネクト」とコラボをし、「コカ・コーラ・クリエーションズ」の立ち上げている。
このキャンペーンの成功を支えたのは、オンラインと店舗での体験をシームレスに統合し、リーチとエンゲージメントの両方を最大化するフルファネル・マーケティング戦略だったという。なかでも、Walmartの店舗内でのデジタルサイネージとインタラクティブなディスプレイ体験により、没入型のブランド体験を創出したことが大きいという。さらに、オンラインとオフラインのマーケティング活動を同期させ、消費者とのあらゆる接点で一貫したメッセージと可視性を維持できたことも成功につながったと言及した。