発行株式の51%を取得
雪印メグミルクは5月14日、チーズの製造・加工を手掛けるヨシダコーポレーションを子会社化すると発表した。発行株式の51%を取得。雪印メグミルクは「中期経営計画2025」でプラントベースフード(PBF)への参入とチーズの販売拡大を掲げており、同社製品の製造委託先であるヨシダコーポレーションを子会社化することで、よりスピーディーな製品開発と市場投入につなげる狙いだ。譲渡実行日は7月を予定しており、取得価額は非開示。
ヨシダコーポレーションは1994年4月創業。チーズの製造と加工のほか、乳製品や関連食品を展開。「YSベビーチーズ」のほか、「クリームチーズ」「YSミックスチーズ」などを販売している。業務用チーズや調製粉乳も扱っている。雪印メグミルクの広報担当者によると、ヨシダコーポレーションの強みは小ロットで様々な開発が可能な点だとしており、子会社化による連携強化によって、商品開発のスピードを上げたいという。
雪印メグミルクは2023年度に「新たな成長のタネづくり」、「基盤活用による物量の拡大」、「国内酪農生産基盤の強化・支援」の3つを柱とする「雪印メグミルクグループ 中期経営計画2025」をスタート。価格改定やマーケティング活動の強化が奏功し、2024年3月期の売上高は前年同期比3.6%増の約6054億円、営業利益は同41.4%増の約184億円となった。
今年度は乳価引き上げによる消費への影響や、バター・脱脂粉乳の需給アンバランスによる脱脂粉乳在庫の積み増しリスクなどの課題に対応する必要があると考え、成長に向けた新施策をスタート。その一環で、植物由来の原料から作られるPBF市場への参入を掲げ、3月26日に「Plant Label(プラントラベル)」シリーズを発売した。
PBFの開発においてもヨシダコーポレーションと共創し、現在の「プラントラベル」の商品ラインナップを拡大する方針。同商品は発売以降、流通から想定以上に高い評価を得ており、配架が進んでいるという。好調な流れをヨシダコーポレーションとの協業でさらに加速させる考えだ。
チーズやバターなどを含む乳製品カテゴリーの売上高は前年同期比2.8%増の約2592億円、営業利益は同1.8%増の約98億円だった。チーズは主力の「さけるチーズ」が、大樹工場の新ライン稼働により供給体制が強化され、積極的なマーケティング活動が可能となったことで、前年から大きく伸長。ヨシダコーポレーションの子会社化でチーズ事業の拡大も期待しており、グループ全体の生産効率改善や、国産乳原料の利用拡大につなげる。広報担当者は「チーズの消費を拡大できるような商品が出てくることを期待している」と話した。