“広告疲れ”を起こさせない Hakuhodo DY ONEはCTAから「ATA」へ…人による広告表現とAI活用

見逃せない消費者の“オファー疲れ”

「“オファー疲れ”は、広告出稿量が多い企業ほど、早く陥ってしまう恐れがあります」と山口氏。“オファー疲れ”を大量に生み出しかねないのが、AI(人工知能)技術の誤った用い方だ。

「AIは、実際の配信成果に基づいて、よりクリックされるような広告表現を生成します。しかし当然ながら人間もパターン認識はするため、すぐに『これは、よくある広告だ』と見抜いてしまう。広告出稿側としては状況に応じて制作内容を変えているつもりでも、生活者側は、機械が生み出す広告に慣れてしまって、行動を喚起するほどの刺激にならず、もっといえば、そうしたオファーをし続けられることについて、むしろ不興を買うことすら想定されます」(山口氏)

各種のWebメディアやSNS、プラットフォームに触れるユーザー の洞察から、尾崎氏は、「興味もそそられないものを、わざわざ見るほど、ユーザーは寛容ではありません」と指摘する。昨今の「タイパ」(できるだけ短い時間で効果・成果を得ようとする志向性、タイムパフォーマンス)需要も彷彿とさせる例だ。

「見たい動画があって『YouTube』にアクセスしているとき、そこに単に広告が出たら、早くスキップしたい気持ちでとどまってしまいます。少なくとも、広告が見るに値するような、興味・関心を引く、もしくは有益であるコンテンツであることをすぐに感じてもらうことが重要です。そうでなければ、見たいコンテンツがあるのにそれを邪魔する障壁として捉えられてしまいます」(尾崎氏)

両氏の主張の要点はこうだ。

  • ・表現面での最適化を過剰に図ると、消費者側も見慣れ、“オファー”に疲れてくる
  • ・知らない、興味をそそられない広告をわざわざ見るほど、生活者は寛容ではない

では、「ATA」の名のとおり、興味を引くことのできる広告は、どう制作すればいいのか。


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