成功事例より敗因から学べることのほうが多い
――社内で講演会を開催して、成果や参加者の反応はいかがでしたか。
水谷:約100人が聴講し、盛況でしたね。参加者からは、競合プレゼンの重要なポイントをきちんと言語化して、体系化してくださっていることや、あらゆることを網羅していることが有難かったという声が聞かれました。
開催後にすぐに実務に取り入れたのは、敗因分析です。講演会の約1カ月後に部門内の協議会が開かれたのですが、そこで早速、敗因分析を発表していたチームが見られました。成功事例を共有するケースは過去にもありましたが、敗因から多くのことが学べることを実感しています。
事前の打ち合わせでは当社の課題を相談し、講演内容もそれに合わせてカスタマイズしていただきました。というのも、プレゼンがうまくいかなかった時の要因の一つとして、領域の異なるスタッフ同士の溝や温度感の違いによって領域を越えた連携がうまくいかず、最終的につぎはぎの提案になってしまうということがあったからです。
鈴木大輔:中途入社を含めいろいろなバックグラウンドを持ったメンバーがいるということも事前に伺っていたので、チーム内で「センタープレイヤー」として積極的に関与していくことを講演では提案しました。
ほかにも、戦略からエグゼキューションまでバケツリレーのように受け渡しながら提案をつくるのではなく、全体でコアアイデアを開発して合意し、そこからそれぞれの領域に散ってアイデアを精緻化させていくという手法についても解説しました。
水谷:各領域で考え方が違うから、互いに尊重と越境して最初から一緒に考えていこうと言ってもなかなか変わることができていなかったので、外部の方にお話しいただけたことで、効果が期待できると感じました。特にエグゼキューション領域を担当するチームにとっては、アイデアの具体化になるべく時間を残すべきと言っていただけたことが、よくぞ言ってくださったという感じでしたね(笑)。
鈴木航:講演会後、1~2年目の若手メンバーからは「初速が大事なんだ」という声も聞かれていました。若手にとっても、きちんと自分ごととして捉えて実践できる講演になったんだと感じられたことが良かったなと思っています。