競合プレゼンを勝利に導いた1枚のシートの力

成功事例より敗因から学べることのほうが多い

――社内で講演会を開催して、成果や参加者の反応はいかがでしたか。

水谷:約100人が聴講し、盛況でしたね。参加者からは、競合プレゼンの重要なポイントをきちんと言語化して、体系化してくださっていることや、あらゆることを網羅していることが有難かったという声が聞かれました。

写真 人物 個人 水谷謙一
水谷謙一(みずたに・けんいち)/YOMIKOマーケットコンサルティングセンター局長代理(兼 AaaS戦略グループ担当部長)。1994年YOMIKO入社。営業職を経て、主に統合メディアプランニングおよびデータドリブンプランニング業務に従事。

開催後にすぐに実務に取り入れたのは、敗因分析です。講演会の約1カ月後に部門内の協議会が開かれたのですが、そこで早速、敗因分析を発表していたチームが見られました。成功事例を共有するケースは過去にもありましたが、敗因から多くのことが学べることを実感しています。

事前の打ち合わせでは当社の課題を相談し、講演内容もそれに合わせてカスタマイズしていただきました。というのも、プレゼンがうまくいかなかった時の要因の一つとして、領域の異なるスタッフ同士の溝や温度感の違いによって領域を越えた連携がうまくいかず、最終的につぎはぎの提案になってしまうということがあったからです。

鈴木大輔:中途入社を含めいろいろなバックグラウンドを持ったメンバーがいるということも事前に伺っていたので、チーム内で「センタープレイヤー」として積極的に関与していくことを講演では提案しました。

写真 人物 個人 鈴木大輔
鈴木大輔(すずき・だいすけ)/FACT 戦略プランナー。2006年ADK入社。2019年、クリエイティブブティック「FACT」の立ち上げに参画し現在に至る。業界3位の広告会社で苦しみながら戦い抜いた10年以上に及ぶ経験と、百を超える競合プレゼンで溜め込んだ知見を、競合に勝つための方法論として体系化した『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』を2023年3月刊行。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。

ほかにも、戦略からエグゼキューションまでバケツリレーのように受け渡しながら提案をつくるのではなく、全体でコアアイデアを開発して合意し、そこからそれぞれの領域に散ってアイデアを精緻化させていくという手法についても解説しました。

水谷:各領域で考え方が違うから、互いに尊重と越境して最初から一緒に考えていこうと言ってもなかなか変わることができていなかったので、外部の方にお話しいただけたことで、効果が期待できると感じました。特にエグゼキューション領域を担当するチームにとっては、アイデアの具体化になるべく時間を残すべきと言っていただけたことが、よくぞ言ってくださったという感じでしたね(笑)。

鈴木航:講演会後、1~2年目の若手メンバーからは「初速が大事なんだ」という声も聞かれていました。若手にとっても、きちんと自分ごととして捉えて実践できる講演になったんだと感じられたことが良かったなと思っています。


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鈴木大輔(FACT/戦略プランナー)
鈴木大輔(FACT/戦略プランナー)

2006年ADK入社。競合プレゼンの存在すら知らなかった営業時代を経て、2010年より戦略プランナーとして大阪へ。一転して競合プレゼン三昧の3年間を過ごし、勝率5割を達成。ところが東京に戻ってからは、思うように勝てない日々が続く。業界3位の広告会社で苦しみながら戦い抜いた10年以上に及ぶ経験と、百を超える競合プレゼンで溜め込んだ知見を、競合に勝つための方法論として体系化。2023年、著書『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』を上梓。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。

鈴木大輔(FACT/戦略プランナー)

2006年ADK入社。競合プレゼンの存在すら知らなかった営業時代を経て、2010年より戦略プランナーとして大阪へ。一転して競合プレゼン三昧の3年間を過ごし、勝率5割を達成。ところが東京に戻ってからは、思うように勝てない日々が続く。業界3位の広告会社で苦しみながら戦い抜いた10年以上に及ぶ経験と、百を超える競合プレゼンで溜め込んだ知見を、競合に勝つための方法論として体系化。2023年、著書『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』を上梓。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。

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