「世の中が知りたい情報」起点
「シルト」の運営体制は、立岩氏を含む広報課2名と外部の制作会社3名の計5名。月1回の編集会議に各々がアイデアを持ち寄って企画を決め、広報課と制作会社のライターで取材・執筆・編集を実施。毎月新規で4本、アップする流れだ。
会議での議論の中心は、「世の中が知りたい情報は何か」を突き詰めること。直近の1カ月間を振り返り、記事の閲覧状況や急激にPV数が上がった記事などに関する検証・分析を実施する。そして「検索ボリューム数のあるキーワードを盛り込めるか」「アカデミックな知見やエビデンスがあるか」「タイムリーな話題か」といった軸のもと、取り上げるトピックを選定していく。
「取り上げるトピックは大学が発信したい情報や紹介したい教員ありきではなく、あくまで『世の中(ターゲット)が知りたい情報』。トピックが決まった後にその分野について取材できる教員を探す形です」(立岩氏)。
また記事の執筆では、「専門的すぎる内容にしない」ことを意識している。専門家が一般の人に解説する趣旨であるため、理解のしやすさが重要だという。「記事を読むことでそのテーマへの理解が一歩進み、新たなコミュニケーションにつながれば」と立岩氏。
踏み込んだテーマも解説
中でも反響が安定的に高いのが「安楽死」をテーマとした記事だ。「安楽死」に関する海外での新たなトピックスが報道で伝えられた後など、世の中の関心が高まるタイミングに合わせてこれまで3本記事を出した。日本と海外を比較しながらその動向を捉えていくといった内容だが、どの記事もPV数が高かった。
立岩氏は「社会性があり、長期的に議論されているテーマである中で、その考え方のひとつをアカデミックな視点から解説していること」が伸びた要因だと分析する。死生観が絡む踏み込んだテーマではあるが、アカデミックや研究の根拠にもとづいた上で、ある程度恐れずに取り上げていく姿勢も「大学のオウンドメディア」としては大事だという。
このほか…
続きは、広報会議2024年6月号特集「オウンドメディア 企業の“リアル”を届ける 距離感が縮まる広報戦略」からご覧いただけます。
同特集ではこのほか、企業や協会のオウンドメディアについて、目的やこだわり、効果測定の方法などを紹介しています。
広報会議2024年6月号
- 特集
- オウンドメディア
- 企業の“リアル”を届ける
- 距離感が縮まる広報戦略
- GUIDE
- 顧客と持続的に関係を構築できる
- オウンドメディアが再注目される理由
- 鷹木 創 テクノコア代表取締役
- 座談会
- 元オウンドメディア編集長対談
- 企業が陥りやすいポイントへの対処法を解説
- 大槻幸夫 × 藤原尚也
- CASE1
- 丸井グループ将来世代に向けた発信で
- 共感醸成し「協業・共創」目指す
- CASE 2
- カルビーへの愛着を醸成
- 社内を巻き込み、note運用4年目へ
- TOPICS
- 東洋紡がオウンドメディアを開設
- まず大切なのは“社内理解”を得ること
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- 開設から16年続く「ばね探訪」に聞く
- 持続的な運営のポイントとは
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- 1カ月で50記事の公開へと導いた
- ログラス広報担当のサポート術に迫る
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- 「ぽぽちゃん生産終了」本音綴ったnote
- 共感が呼び1200スキ以上集まる
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- 工芸品の魅力伝える「中川政七商店ラヂオ」
- 企業ブランディング起点でリスナー来店の動線に
- CASE 3
- 投資家、求職者、足場への無関心層など
- 各ステークホルダーに記事を届けるASNOVAの工夫とは
- CASE 4
- 「リハビリ体験記」ほか生活密着の切り口で
- 理学療法士の普及とプレゼンス向上
- CASE 5
- 「世の中が知りたいこと」起点の企画で
- 立命館大学と社会つなぐ架け橋に
- 明確なロードマップを描き成功へ導く
- 成果を出すまでの5ステップ
- 中川順司 Faber Company
- DATA
- 担当者117人に聞いた
- オウンドメディア運用の現状
ほか