くよくよしたら宇宙思考

ぼくは、電通から2011年に独立して、4人の仲間と共にPARTYを共同設立したが、決して順風満帆ではなかった。特に1年目〜2年目は、自分の持ち味であった、SNSの企画がうまくいかなくなった。当初のPARTYは海外の賞などで評価されることを強く意識していたので、企画においてグローバルコンテキストを捉えていることを重視された。

小さな東洋の島国(それも栃木)で生まれ育った人間には、これはなかなか難しい課題だ。たとえば、うんこを漏らしそうになってトイレのドアをノックすることも、バレンタインに義理チョコや本命チョコをあげることも、グローバルコンテキストでいうと「理解されない」のである。
「中村の企画は狭い」「グローバルには理解されない」と言われるケースが多くなり、企画が社内で通らず、アウトプットの数が激減した。

その結果、1年目の後半で上記の「2-6-2の法則」に照らし合わせると、
ぼくは、上位の2割ではなくなったことがハッキリと自覚できたのだ。

あれ?
これ、もしかして……。

 

独立しなかったほうがよかったかもしれない?

 

きたきたきたきたきたきたきた

 

ぞわわわわわわわわっ

 

これだ。

完全に鬱のしっぽをつかんでしまっていた。

 

いちどその思いが首をもたげると、自分の奥底に澱のように溜まっていき、ふとした仕事の最中にふと黒い蔦のように自分の身体に常にまとわりつき始める。

ぼくの独立は間違いだったかもしれない。
でも、もう、戻ることはできない。
ということは、この先もずっと、自分はよい仕事ができないかもしれない……。

 

写真

当時、PARTY総出で取り組んでいた「Make TV」

ちょうどその頃、PARTYでは「Make TV」というプロジェクトを会社総出でやっていた。テレビ番組の生放送中に、視聴者がケータイからボタンを押すと、ボタンが押された数に応じて舞台装置がぶっ壊れるという「インタラクティブ番組」のはしりだ。

埠頭の大きな倉庫に舞台装置を立て込んで、何度もテストを行っていた。テレビ番組連動コンテンツは、想像以上のアクセス数となり、何かがひとつ起こっても放送事故となる。
テレビ番組放送の前日まで、PARTYの社員ほぼ全員が緊張しながら何度もゲネプロを重ねていた。それでも一部の動作が安定せず、デバッグが続いていた。

高まる緊迫感。


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中村洋基(PARTY / combo 起業・投資家)
中村洋基(PARTY / combo 起業・投資家)

PARTY Creative Director / Founder

combo 代表取締役

電通デジタル 客員エクゼクティブクリエイティブディレクター

FIELD MANAGEMENT EXPAND エクゼクティブクリエイティブディレクター

予防医療普及協会 理事



電通にて斬新なアプローチのバナー広告を次々と発表、多数の話題になったデジタルキャンペーンも手がける。2011年PARTY設立。国内外300以上の受賞歴があり、審査員歴多数。ヤフーMS統括本部ECDを兼任し、広告領域のビジネス開発を担う。TOKYO FM「澤本・権八のすぐに終わりますから」司会・パーソナリティ。青山のコーヒーショップ「TINTO COFFEE」運営。「新しいコミュニケーションをつくる」ことが目標。

中村洋基(PARTY / combo 起業・投資家)

PARTY Creative Director / Founder

combo 代表取締役

電通デジタル 客員エクゼクティブクリエイティブディレクター

FIELD MANAGEMENT EXPAND エクゼクティブクリエイティブディレクター

予防医療普及協会 理事



電通にて斬新なアプローチのバナー広告を次々と発表、多数の話題になったデジタルキャンペーンも手がける。2011年PARTY設立。国内外300以上の受賞歴があり、審査員歴多数。ヤフーMS統括本部ECDを兼任し、広告領域のビジネス開発を担う。TOKYO FM「澤本・権八のすぐに終わりますから」司会・パーソナリティ。青山のコーヒーショップ「TINTO COFFEE」運営。「新しいコミュニケーションをつくる」ことが目標。

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