電通グループは29日、世界56市場から収集したデータに基づき取りまとめた「世界の広告費成長率予測」の改定版を発表した。本予測は毎年2回を基本として改定しており、今回は2024年、2025年、2026年予測のアップデートとなる。主要なポイントは次の通り(図表は全てリリースより引用)。
2024年の世界の広告費成長率は5.0%を予測
2024年の世界の広告費成長率予測は、前回2023年12月発表の予測から0.4pt上方修正の5.0%となり、市場規模は7,544億米ドル(約117兆円/※1米ドル=約155円で換算)となる見通し。
上方修正の主な要因は、主要市場である米国、英国、ドイツ、フランス、日本における広告費支出の見通しが改善したため。また、対前年比では、複数の大型スポーツイベントや、多くの国で実施が予定される国政選挙などがプラス成長に貢献する見通し。
なお、広告費市場規模のトップ12の全ての市場で、各広告費成長率は各GDP成長率と同等またはそれ以上になる見込みだという。地域別では、米州(5.9%増)、EMEA(4.0%増)、アジア・パシフィック(日本含む)(4.2%増)。市場規模のトップ5カ国は2023年と変わらず、米国、中国、日本、英国、ドイツとなる見通し。
デジタル広告が引き続き成長を牽引 リテールメディアは32%増
2025年の世界の広告市場は、4.2%増の7,859億米ドルを予測している。また、2026年も同様に4.2%増となる堅調な成長を見込み、市場規模は8,191億米ドルになる見通し。なお、総広告費に占めるデジタル広告の割合は、2024年の59.6%から、2025年には60.9%、2026年には62.0%に達する見通し。
<世界の総広告費の推移>
媒体別では、デジタル広告が全体の広告費の59.6%を占め、特にリテールメディア(32.0%増)、ペイド・ソーシャル(13.7%増)、プログラマティック(10.9%増)、ペイドサーチ(7.7%増)が高い成長率を見込んでいる。
テレビ広告は2.6%の増加率を見込み、全体の広告費に占める割合は22.5%となる見込み。ブロードキャストにおける広告支出が減少傾向となる中、コネクテッドTVは24.2%増の成長予測となり、今後も成長が見込まれるという。
減少傾向にある新聞・雑誌はマイナス2.6%の成長となる見通しで、広告費全体に占める割合も6.1%にまで低下することが予想される。また、それ以外の媒体では、OOH(屋外/交通)、オーディオ、シネマが、それぞれ4.2%、0.4%、4.8%の成長を予測している。
日本の広告市場は前回予測から0.6Pt上方修正
日本は世界第3位の広告市場であり、2024年は前回2023年12月発表の予測(2.5%)から0.6pt上方修正した3.1%の成長を見込んでいる。
デジタル広告は8.0%の成長を予測し、広告制作や運用面でのAIの活用やコネクテッドTV利用拡大に伴う動画広告のさらなる成長、リテールメディアへの関心高まりに伴う広告販促市場の拡大が牽引する。さらにスポーツをはじめとした各種イベントや販促キャンペーンの大型化・活発化に伴い、デジタル広告と連動したOOHやラジオの拡大も期待される。
なお25年もデジタル広告を中心に成長が継続し、2.5%の成長となる見通し。
<地域別成長率予測>
<媒体別成長率予測>