ミレニアル世代攻略と次世代マーケター育成 AmexのCMOに聞く、マーケターの役割とは

2018年から「Powerful Backing(パワフル バッキング=強力な後押し)」というブランドメッセージのもと、グローバルでさまざまな施策を展開してきたアメリカン・エキスプレス(Amex)。同社のCMOで、グローバル全体でのクリエイティブやスポンサーシップ、メディア戦略などを統括するエリザベス・ルトリッジ氏に日本市場への可能性を聞いた。

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エリザベス・ルトリッジ氏

(アメリカン・エキスプレス CMO)

プリンストン大学卒業。ニューヨーク大学MBA取得。2018年に同社のCMOおよび執行委員会のメンバーとして就任する以前は、同社において、プロダクト(商品開発)やマーケティング、インサイトの業務を担当。それ以前は、米国のカード商品開発・特典担当のEVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)として、個人消費者向けカードおよびレンディング(金融商品)のポートフォリオなどを統括。グローバル・ネットワーク・マーケティング&インフォメーション担当EVPとして、世界の加盟店向けのマーケティング活動やインサイトに関する業務を率いていた。Forbes World’s Most Influential CMOs、AdAgeWoman to Watch、She Runs It’s Women of the Yearのひとりに選出されたほかアドウィーク誌のブランド・ジーニアス賞、ニューヨーク・ウーマン・イン・コミュニケーションズのマトリックス賞も受賞。

―AmexのCMOとしてのミッションを教えてください。

私たちは「日々、世界最高の顧客体験を提供する」というビジョンを掲げています。ここ数年は、このビジョンを具現化したものを、今までのAmexのお客さまに加え、ミレニアル世代やZ世代、個人事業主や中小企業の経営者のお客さまに対して、特にアメックスが力を入れている「Powerful Backing(パワフルバッキング=強力な後押し)」のメッセージとを結び付けることで、お客さまに最高の経験を約束し、提供することがミッションです。

―「Powerful Backing」の具体的な内容は?

ターゲットとなるのは、社員、顧客、地域社会の3つです。まず社員に対しては、「コリーグファースト」な組織としてサポートすることを第一に考えています。世界中に7万5000人以上の社員を抱えていますが、まず私たちが彼らに十分なサポートをしなければ、社員たちがお客さまへサービスを提供することはできません。「Powerful Backing」の中核をなす社員たちを第一に考えること、そこからすべてが始まっていくのです。

お客さまに対しては、旅行、ダイニング(会食)、エンターテインメントといったカード会員が特に好む分野において、プレミアムな体験を提供することに焦点を当てています。例えば、レストランの予約時の特別優待やスポーツや音楽イベントのチケットの先行販売、空港ラウンジの利用などが挙げられます。

法人のお客さまに対しては、デルのオンライン決済サービスなどを提供するスクエア社、ヤフーアドバタイズメントといったパートナーとの連携を通じて、ビジネスの成長をお手伝いしたいと考えています。

最後の地域社会については、中小店舗を応援する「SHOP SMALL」というプログラムが当てはまります。2010年に金融危機を受けてアメリカで始まったもので、キャッシュバックキャンペーンなどにより店舗への集客・消費を促す施策です。

日本では2017年にスタートし、2022年には新たに「RISE with SHOPSMALL」というプログラムを立ち上げました。中小店舗事業者の挑戦を金銭的にサポートするもので、従業員のトレーニングや店舗改装、業務のデジタル化のため役立ててもらうというものです。さらに別の取り組みでは、東京と大阪を含む世界9都市で小規模・個人経営の飲食店を対象に支援金を給付するなど、ショップオーナーの方々へのサポートを通じて地域コミュニティ全体の活性化を目指してきました。

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