ミレニアル世代攻略と次世代マーケター育成 AmexのCMOに聞く、マーケターの役割とは

―ミレニアル世代やZ世代などの若者に訴求する上で意識していることはありますか。

私たちの新規獲得会員の60%をミレニアル世代とZ世代が占めることを鑑みても、重要なターゲットであることは間違いありません。彼らは旅行、ダイニング、エンターテインメントを特に好む世代で、実際にレストランなどでのカード利用が多い世代であることも分かっています。私たちが彼らにサービスを提供するうえで、グローバルで力を入れているのが「体験」です。新たにF1とのパートナーシップを発表しましたが、それは全世界にいる10億人のF1ファンのうち80%は35歳以下であるためです。

また、テイラー・スウィフトの世界ツアー、ウィンブルドン、USオープンといったイベントのチケット先行販売のほか、オリヴィア・ロドリゴやBLACKPINKといったアーティストとのパートナーシップによってグッズ販売の優先レーン案内のサービスもあります。

三笘薫選手が所属するイングランド・プレミアリーグのブライトンとのパートナーシップも結んでいます。直近ですと、7月24、28日に国立競技場で開催される、「ブライトン&ホーヴ・アルビオン ジャパンツアー2024 supported by American Express」のAmexのカード会員向けのチケット先行販売なども実施しています。

日本では、テーマパークのユニバーサル・スタジオとのパートナーシップで、VIP体験パッケージやカード会員限定の宿泊プランを用意。以上のように、Amexのカード会員だからこそ享受できるユニークな体験を提供することに重きを置いています。

―日本のマーケットをどのように見ていますか。

キャッシュレス化の進展に非常に注目しています。現在、日本では決済の約40%がキャッシュレス化されていますが、まだまだ成長の伸びしろは大きいと言えます。Amexとしてもさまざまな可能性を模索中ですが、交通機関のような日常的な場面でカードを使えるようにすることでキャッシュレスが習慣化していくのではないかと期待をしています。

個人カードのお客さまに対しては、2024年2月に「ゴールド・プリファード・カード」をローンチ。新しい広告キャンペーンも実施しました。一定の利用額を満たすと日本国内の50以上の高級ホテルが1泊無料になるギフトが贈られるほか、レストランのオンライン予約システムの「ポケットコンシェルジュ」から予約すると20%のキャッシュバックが受けられるといった特典を用意しています。

ビシネスカードのお客さまに対しては、Amexのカードを仕入れの決済に使ってもらうことで、キャッシュレス推進の役に立てると考えています。

―日本で活躍するマーケターへのアドバイスをお願いします。

常に好奇心を持ち“学習モード”でいることですね。新しいテクノロジーや新しいコミュニケーションチャネル、新しいメディアについて学ぶ意欲を絶やさず、さまざまな事象に対して「なんでだろう?」と問い続ける好奇心がマーケターには不可欠です。また、自らのアウトプットを客観的に計測できる分析スキルを磨くことも大切です。

そして、自分の業界ではない市場や、自国ではない市場など、自分が属さない領域にまで視野を広げることも重要。私が「Personal Board of Directors(個人的な理事会)」と呼んでいる、組織内外の同僚や友人とのつながりを持つこともおすすめです。彼らからフィードバックをもらったり新しい情報を与えてもらったりするこのつながりは、あなたの視野を広げ強化してくれるはずです。

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