こんにちは。西武ライオンズ広報部長の赤坂修平です。
本コラムは「球界や広報業界のさらなる発展のために筆を執ってほしい」というお話をいただき、微力ではありますがそのお役立てになれればと思いお引き受けしました。私へのご批判もあると思いますが、あと少しだけ執筆させていただきたいと思います。
ライオンズは日本生命セ・パ交流戦 2024の開幕と同時に心機一転、渡辺久信ゼネラルマネージャーが監督代行も兼務し、新しいスタートを切りました。ここまでの交流戦は2カード勝ち越しとはいきませんでしたが3勝3敗としています。短期的にはCS進出を目標とし、渡辺GMを筆頭に、チーム・社員も一丸となってファイティングポーズをとり続けて戦ってまいります。
さて、前回は「シン・広報戦略」について、話せる範囲で非常に苦心しながら書きましたが、皆さんに上手く伝わったか心配をしつつ……今回は前回の内容を踏まえ「美肌の選手が美容メディアに登場、西武ライオンズの『戦略PR』」という話です。
実は2023年、小学館の美容雑誌『美的』のオンラインサイト「美的HEN」にライオンズの選手らが登場したことがあります。
「好きです、化粧水」。埼玉西武ライオンズ・源田壮亮選手にスタメンコスメを聞いてみた。
▶︎ https://t.co/GCAKLQOIKT pic.twitter.com/mbivYVqw9D
— 美的 (@bitekicom) July 19, 2023
その裏には、メイクやスキンケアなどを通じた自己表現や自己ケアを大切にする現在の世の中の流れをプロ野球に組み入れては、という考えがありました。今回は「トレンドに敏感に」と「正はしつこく何度でも」がポイントです。
空気や世論をつくる「戦略PR」に取り組んだ経験
私は2006年にコクドとプリンスホテル(現:西武・プリンスホテルズワールドワイド)が統合した時は広報業務に従事しており、リゾートからシティホテルへ担当が変更になりました。
2007年頃から、比較的規模の大きいシティホテルから、客室改修やレストラン改修などバリューアップ投資を続々行っていました。当然、PRはマストです。様々な媒体に対して、お客さま視点で、どんな機能が素晴らしく向上したのかを提案し、一定のパブリシティを獲得していました。
しかし、2008年9月にリーマン・ショックが起こり、親会社である西武ホールディングスの2009年3月期の連結当期純利益は赤字となりました。
何とかして、会社の役に立ちたいと思い、そんなときに手に取った本が、本田哲也さんの著書『戦略PR』(アスキー新書)でした。そこには、消費者を「買いたい気分」にさせる「空気」をどうつくるかが書いてあり、どのように世論を形成していくかが、事例を挙げて説明してありました。
ホテルで考えた場合、高稼働で需要が高い時は、機能的価値を訴求することでメディアの皆さんに納得してもらい、それを企画にしてパブリシティを獲得できていましたが、リーマン・ショックで国内のみならず世界的にホテルの需要が落ち込んだ時は、機能的価値を訴求しても企画が成立しない。そこで考えたのが、「それでも行きたい」と思わせる情緒的価値の「空気」づくりでした。