(一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター「起業家精神に関する調査」(平成26年)より作成)
日本は、起業に興味がある人がとても少ない。
「大変そうだから」「リスクがありそうだから」という意見が大きいようだが、ひとつは自分の近くで、起業に成功した人を見ていないという、機会の問題が大きい。
Xtech Venturesの西條晋一さんも「私の周りの成功した起業家の唯一の共通点は、20代で成功者と過ごした時間が一定期間あって、経営を間近で見て感じたこと。これは起業家にとって努力とか能力とか運以上に大きな要素だと思います。」と語る。
スタートアップ起業家には、DeNA、サイバーエージェント、リクルート勢が多く、電博など広告代理店(特にクリエイティブ)は割合にすると少ない。
しかし、0→1のアイデアを出す能力、世の中にPRする能力、デザインシンキングなど、クリエイティブ×スタートアップは非常に相性がいい説をぼくは唱えている。ただ、カルチャーがないだけなのだ。
(経済産業省「起業家精神に関する調査報告書」(令和4年度)より作成)
海外では、エリートになるほど、「起業がスタンダードな進路」になっているらしい。
実際、起業には大きな魅力がある。
まず何といってもお金の話。
ある程度の事業規模まで作り上げて、大企業に事業売却などできれば、一撃で億万長者である。別に、トヨタやユニクロ、ソフトバンクまでの規模になる必要もない。10億の事業価値をもったシリーズAのスタートアップなんて、ゴロゴロいる。
サラリーマンは、MAX55%の所得税が取られるので、どれだけ会社の中で偉くなっても、ほとんど税金に持っていかれる奴隷だ。たとえば大企業の役員になり、年収4000万にのぼりつめても、手取りは2295万ほどになる。いっぽう、事業売却の配当所得は20.315%で押さえられるので、あなた100%の会社が10億の事業売却ができたら、8億残る。
しかし、お金よりもなによりも、あなたが欲しいと思い、あなたがつくったサービスが世の中で使われている、社会を変えているというダイナミズムが何よりの魅力だ。
以前のコラムにも書いたが、ぼくらに生まれた理由なんかないし、何もしなくて死んでもぜんぜんオッケーである。
だが、せっかくならば、自分が何か人類の進化の一端に貢献できる実感を得られたら、非常に尊いなと思う。
それって別に、大層なことでなくて良くて。
たとえば、情報は、どんどん高速に大容量に転送されるようになっていった。
以前は飛脚だったものが、電報になり、電話が生まれ、離れた人とも瞬時に通話できるようになった。ファックスやEメールが生まれ、相手がそこにいなくても情報を届けられるようになった。XやLINE、FacebookのようなSNSで、複数の人間に高速に情報が送れるようになり、InstagramやTiktokで画像や動画のようなリッチなデータも複数人に転送できるようになった。
科学の力で、情報をより効率的に転送できるしくみは、auやソフトバンクなどキャリアに任せればいい。その効率の先にある、エモい何かの熱狂を生み出したい。火星に居ても寂しくないとか、世界中が同時熱狂するお祭りをつくるとか、ある日世界のヒーローになるとか、寄付と思ってなくて遊んでるだけなのに貧困が減るとか、効率のあとにくる熱狂をビジネスモデルに落としたい。
そういうことを一緒に企む仲間と、起業したい人、いつでも募集しています。
comboのモデルは、VALUでの成功と挫折、たくさんの経営者や先輩投資家とのインタビュー、無謀にも引き受けた基調講演。これらが背景になければ、一介の広告クリエイターであるぼくごときが形にすることができなかった。多少失敗や恥ずかしいことがあっても、きっと飛び込んだときに得た知見や、新しい人との出会いが、また次のチャレンジを生み出してくれる。そのワクワクこそが生を実感できるモチベーションだ。
迂闊鬼十則の9
迂闊は発明の母。多少の挫折や失敗でクヨクヨせず、次の一手のための糧にせよ