――この先の20年間において、どのような変化が起きるか、どのような変化を起こすべきかについて、下記からテーマをひとつ選び、そのように考えた背景について、教えてください
- マーケティング: チャネル・流通・購買、消費・利用、および広告、メディアビジネス)
- クリエイティブ: 商品・プロダクトなどのサービスデザイン、コミュニケーションにおけるクリエイティビティ
- テクノロジー: マーテク、アドテクに限定せず、社会や個人の活動全体の可能性をひらき、生み出すもの
- サステナビリティ: 狭義の環境問題に限定せず、社会や個人の活動全体を維持改善していくもの
「サステナビリティ(狭義の環境問題に限定せず、社会や個人の活動全体を維持改善していくもの)」
ハーバード大学が84年間にわたって行っている「人の幸せ」に関する研究は、「人の幸せは“良い人間関係”に基づく」と結論づけていました。現在、2045年までにはシンギュラリティが訪れ、AIが人智を超える存在になると予測されていますが、もし人とAIが共通の倫理観を持ち社会を持続させているのならば、今よりも安全で正確で早い社会システムが実装されているはずです。では、その社会で人々は幸福といえるのでしょうか。
AIの進化は、人が人とのコミュニケーションを持たずとも、間違えのない選択や行動を導くため、人同士の関係は希薄になると予測されています。一方、企業活動は持続可能で豊かな社会つくりに資するべきであると考えると、冒頭の結果の通り、人が幸福に感じる豊かな社会をつくるために、人と人との関係性を豊かにするサービスやプロダクトをつくり続けることが、企業に求められていることだと考えています。
室井淳司さんのAdverTimes.コラム
『クリエイティブ・ディレクターのプロデュース術』
経営や事業と向き合うクリエイティブ・ディレクター像を模索し続けてきた筆者による、クリエイティブ・ディレクション論とプロデュース論。クリエイティブ・ディレクターという職業は広告業界では「広告を作る責任者」と規定されがちだが、その職能が応用できる範囲は広い。筆者は独立後10年を経て、企業経営者や事業責任者と向き合い、経営理念や戦略から助言を行い伴走するなど、クリエイティブ・ディレクターの働き方の拡張を経験してきた。本コラムでは具体例も交え、新たなクリエイティブ・ディレクター像を提示していく。