「このままでは発売できない」と言われた豆腐バーがセブンの定番商品になった理由

そこで、豆乳の凝固、成型、味付け、包装、殺菌までの一連の工程を、最初から見直しました。工程ごとに膨大な試験を繰り返し、一つずつ課題を解決した結果、遂にプロトタイプの提案から1年後の2020年11月に「豆腐バー」は発売を迎えることができました。

写真 商品・製品 豆腐バー

改良前のプロトタイプの「豆腐バー」と、改良後の発売した「豆腐バー」。

流通とメーカーの狙いが合致 発売1年で745万本を販売

「豆腐バー」発売時に設定した目的は、普段から「サラダチキンバー」を購入しているお客さまに「新たなたんぱく質の選択肢」を提案すること。これはセブン-イレブンさんが「たんぱく質需要をさらに広げる」ために考えられたMD戦略と、アサヒコの「豆腐を植物性のたんぱく源として消費者を拡大したい」という両社の狙いが合致したことで生まれた新たな提案でした。

そのため売り場は「サラダチキンバー」の隣、パッケージデザインもあえて「サラダチキンバー」と統一感を持たせ、価格は「サラダチキンバー」より10円安い128円(税抜)で販売を開始しました。実際にお客さまがどう評価するのかとてもドキドキして、私は発売当日からX(当時はTwitter)で毎日「豆腐バー」のエゴサを続けていました。

写真 商品・製品 豆腐バー

発売当時の売り場の様子。左が初代「豆腐バー」、右が「サラダチキンバー」。

すると狙い通り、健康意識の高い生活者や若年層が反応し、「サラダチキン」の買い回り品として購入され、運動時のたんぱく質補給やヘルシーな食事として利用されていることが見えてきました(私はそのたびに「いいね」をタップ!)。その後、「豆腐バー」は発売1年で745万本を販売し、2021年末の「日経トレンディ ヒット予測」のなかでコンビニ大賞を受賞することができたのです。

スクリーンショット セブン-イレブンのX投稿

発売時のセブン-イレブンの投稿。


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池田未央(アサヒコ 代表取締役)
池田未央(アサヒコ 代表取締役)

2018年にアサヒコ入社、2023年5月より現職。国内外の菓子・食品メーカーにて商品開発とマーケティングに25年以上従事。ブランドマネージャー、プロダクトマネージャーの経験から、商品を生み出す川上から消費者の手に渡る川下までを一気通貫してリードできる知識と経験を有す。また、各業界で新しい視点でヒット商品を手掛ける。

池田未央(アサヒコ 代表取締役)

2018年にアサヒコ入社、2023年5月より現職。国内外の菓子・食品メーカーにて商品開発とマーケティングに25年以上従事。ブランドマネージャー、プロダクトマネージャーの経験から、商品を生み出す川上から消費者の手に渡る川下までを一気通貫してリードできる知識と経験を有す。また、各業界で新しい視点でヒット商品を手掛ける。

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