官民連携でカメムシ対策 神戸市、市民参加型の生物調査を実施

環境保全、コスト削減、自然教育など様々な効果

神戸市では、近年問題になっている外来種による環境破壊や、カメムシなどの大量発生といった課題に対して官民連携で対応している。2022年から市民参加型の生物調査を実施。生物情報アプリを手掛けるバイオームのアプリ「Biome」を活用し、市民に外来種や固有種の写真を撮影して投稿してもらうことで、分布の把握などを行う。業者に依頼するよりもコストがかからないほか、外来種の問題や生物多様性について市民に関心を持ってもらう狙いもある。今回の調査はカメムシなど15種類の生物が対象で、期間は6月1日から8月31日まで。昨年以上の参加者と調査件数を目標に掲げる。

夏休み期間に実施し、子どもたちに生物多様性を学んでもらう狙いも

「Biome」を無料でダウンロードし、神戸市が実施するクエストに参加することで調査を開始できる。2023年に同市で大量発生した「ツヤアオカメムシ」のほか、近年新たに確認された「ツヤハダゴマダラカミキリ」や「クビアカツヤカミキリ」などが対象。里山の指標となるカブトムシやニホンアマガエルなども含まれる。対象の15種類のうち、3種類を投稿するとクエストクリアとなる。

同市は港町のイメージが強いが、山や田園も多い。豊かな自然環境がある一方、担い手の不足で放置された竹やぶや田んぼなどが課題となっている。外来種対策に市民の協力を求めることで、問題の周知や解決につなげるだけでなく、同市の自然に関心を持ってもらい、環境保全につなげたい考えだ。

市民参加型で環境保全に取り組むことになったきっかけは、2021年に神戸港内の人工島「六甲アイランド」で発見された外来種「ツヤハダゴマダラカミキリ」だった。このカミキリムシは2002年に国内で発見された後、数年で根絶されたが、近年再び姿を見せている。虫を扱う専門誌の記事によって六甲アイランドでの生息が発覚。同市が5~8月に調査したところ、大量の成虫が確認されたという。ツヤハダゴマダラカミキリは木の中に卵を産み付け、生まれてきた幼虫が木を食べて枯らしてしまう。同市は被害を受けた木を処分し、2021年には429本、2022年には93本、2023年には59本の木を切ったという。

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