「AIが浸透した未来、人間は自分の欲求を自分で決められるか?」(木村健太郎)

――この先の20年間において、どのような変化が起きるか、どのような変化を起こすべきかについて、下記からテーマをひとつ選び、そのように考えた背景について、教えてください

  • マーケティング: チャネル・流通・購買、消費・利用、および広告、メディアビジネス)
  • クリエイティブ: 商品・プロダクトなどのサービスデザイン、コミュニケーションにおけるクリエイティビティ
  • テクノロジー: マーテク、アドテクに限定せず、社会や個人の活動全体の可能性をひらき、生み出すもの
  • サステナビリティ: 狭義の環境問題に限定せず、社会や個人の活動全体を維持改善していくもの

テクノロジーが人間本来のアスピレーションやクリエイティビティを拡張していくのか、あるいは隷属させて鈍化させていくのかに興味があります。

少なくとも今後20年間で、生活者が何かを望めばそれをラクに叶えてくれる技術的なしくみは格段に進化していくでしょう。何かを買いたいと思えばいつでもどこでもそれを届けてくれるし、見たいと思えば瞬時にそれを見せてくれる、どこかに行きたいと思えばそこに連れて行ってくれるし、食べたいと思えば食べさせてくれるし、誰かと繋がりたいと思えば繋げてくれるようになっていくでしょう。

でも同時にAIはあなたの欲求をマシンラーニングとアルゴリズムで予測し、先手を打って抗えない形で提示していくかもしれません。人間の中毒性を今以上に解析し利用して行動を支配しようとするかもしれません。人間は本来能動的でフレキシブルな自由意志を持っていて、その実現のためにクリエイティビティが備わっているはずですが、同時にレイジーで受動的でもあります。

20年後に、あなたは今これがしたいですよね、と言われて果たして、いえ、私は今本当はこれがしたいんです、と抗えるかどうか。自分の欲求をシステムに決めてもらう未来が果たしてユートピアなのかディストピアなのかはわかりませんが、少なくとも人間が自由に考えて決断する力が拡張しているといいなあと思います。

木村健太郎さんのAdverTimes.コラム

 

『やかん沸騰日記』

「アイディアを沸かせて世の中を沸騰させよう」をモットーに革新的なインテグレートキャンペーンを生み出し続けてきた博報堂ケトル。その設立秘話から今までの奮闘記。会社のコンセプト「手口ニュートラル」なプランニングのスタイルや日常のエピソードまでをざっくばらんに綴っていきます。

※このコラムは隔週掲載です。

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