売り場の工夫や補助金活用で省エネ家電をアピール
大手電力各社が電気料金の値上げを発表する中、地域に根差した「町の電器店」は「省エネ」をキーワードとした販売戦略を推進する。国や自治体が省エネ設備の導入を促す補助金事業を展開していることから、電気代高騰を商機と捉える店舗も。一方、補助金制度を知らない人や「省エネ効果」をイメージできない人も多く、提案には工夫が求められる。東京都、福岡県、沖縄県の有力電器店に独自の施策を聞いた。
2003年創業の「でんきのアズ八女店」。約132平方メートルの店舗で、7人体制で経営
福岡県八女市のパナソニックショップ「でんきのアズ八女店」は、店頭での省エネ提案で工夫を凝らしている。夏場のランニングコストが特に気になるエアコンでは、自動でフィルターを掃除する機能の重要性を強調。なぜなら、エアコンのフィルターはこまめに手入れしないと冷暖房効果が薄れてしまうが、中には購入時から自分で掃除したことがない人もいるからだ。
「口頭だけでは自動掃除機能の有用性がイメージしづらい」と考えた弥永賢伸店長は、展示品のエアコン本体の片側に紙を張り付け、意図的にフィルターが詰まった状態を再現。片面のフィルターは手入れされた状態で、それぞれの面から風を感じることでフィルター効果を実感できるというものだ。さらに吹き出し口に布を設置することで、風の動きが目で分かるようにしている。顧客が納得して購入しやすい環境を整えたことで、上位機種の販売につながっている。