社員を通して伝える「地方のモノづくりの姿」、茨城の鋼材加工業・相鐵の創業60周年記念コミュニケ―ション

茨城県日立市にある鋼材加工業の相鐵は、5月30日に創業60周年記念式典を開催し、30段の新聞広告を日本経済新聞、茨城新聞、鉄鋼新聞の3紙に出稿。公式YouTubeでは、4本のブランドムービーを公開した。

イメージ 新聞広告 日経新聞に出稿した広告

日経新聞に出稿した広告

同社は、2014年の創業50周年にあわせてリブランディングを実施。このときに来る100周年を見据え、「相鐵50周年プロジェクト」をスタートした。鋼材加工業という、いわゆるブルーカラーと呼ばれる相鐵の仕事を「スポーツ」のメタファーで捉え直し、社員を「アスリート」に、工場を「スタジアム」に、会社を「チーム」としてブランドを再構築。そして社員の表彰や育成、工場の新築や改修、社としての情報発信などを進めてきた。

また創業50周年コミュニケーションでは、茨城新聞に30段のブランド広告を出稿し、6つのブランドムービーを制作。この新聞広告やムービーを通して「僕らがものづくりを、つくるんだ。」というスローガンを発表した。

そして、この50周年を機に同社の業績は大きく伸長。当時、相鐵単体で社員数は40名程度だったが、現在はM&Aをした企業の一部を統合。「相鐵」「太洋工業」「峯久」という3社で構成する「相鐵グループ」となり、全体で130名の社員を抱える組織へと成長している。

「50周年後も年に一度『相鐵アワード』と呼ばれるイベントを開催し、アスリート(社員)の表彰や、チームの活動方針の発表などを継続的に行っていましたが、コロナ禍を境にその活動もストップしていました。今回は相鐵の創業60周年の節目として、また新たな挑戦を行なっていく相鐵グループの活動発表の機会として、周年コミュニケーションを行なっていくことになりました」と、50周年時のリブランディングを手がけたクリエイティブディレクター 石原篤氏。

今回の60周年記念コミュニケーションに携わった中心スタッフは、このリブランディングの段階から関わっている。

「50周年時に掲げた『僕らがものづくりを、つくるんだ。』というスローガンは、最終製品ではなく、素材を切って曲げて、さまざまな部材・部品を作り出す、相鐵のものづくりへの意志や姿勢を込めた言葉です。相鐵グループへと組織を拡大した現在も、中小企業である3社が中小企業のままものづくりをしていく形は変わらず、それがグループ全体の精神とも言えます」(石原氏)

そこで、今回の60周年コミュニケーションでもこのスローガンを継続。その上で「この10年」というコンセプトを掲げている。予測不可能な時代に「相鐵にどんな変化が起きたのか。その変化がこれからの成長にどのようにつながっていくのか」を、この10年間の相鐵の活動の象徴と言える社員の姿を通して描くことにした。

イメージ ロゴ 60周年ロゴ

60周年ロゴ

今回出稿した新聞広告とブランドムービー4タイプには、すべて同社の社員が出演している。

冒頭の日経新聞30段に登場しているのは、営業を担当する3人。実は、高校の同級生だ。転出超過自治体として全国ワーストになったこともある日立市で育った3人が、地元に残り、相鐵で再会し、営業部の主力メンバーとして会社を飛躍させる姿を描いている。

「営業三人衆」篇

鉄鋼新聞30段とムービーに登場したのは、二人の女性。女性活躍推進が叫ばれる中で、守備範囲を着実に広げながらグループ会社の取締役をつとめる総務部の女性。そして図面なんて書いたことがなかったのに独学で設計を学び設計部の部長をつとめる女性、そんな二人が生き生きと活躍する姿を描いている。

イメージ 新聞広告 鉄鋼新聞に出稿した広告

鉄鋼新聞に出稿した広告

「35歳、取締役」篇

「29歳、部長」篇

茨城新聞30段とムービーに登場したのは、約十年前に相鐵へ入社し、製造部の大黒柱となった若者。暑い日も寒い日も、鉄を切って曲げる仕事を繰り返すことで、この国の豊かさと未来を支えるブルーカラーのプライドを描いている。

イメージ 新聞広告 茨城新聞に出稿した広告

茨城新聞に出稿した広告

「28歳、製造部」篇

これらの新聞広告とブランドムービーは、60周年式典開催の約1年前となる2023年6月に制作をスタート。新聞原稿・ムービーに登場した計6名の社員へのインタビューを行っている。インタビューは、コピーライターの小山佳奈氏、アートディレクターの槻舘翼氏、フォトグラファーの高橋マナミ氏、そして石原氏の4人が中心になって進めた。

「このインタビューをもとに、新聞・ブランドムービーのコピーを小山さんが書き、そのコピーを元に高橋さんが撮影しています。撮影された映像素材をプロデューサー関山カヅキさんとディレクターの片岡義憲さんが編集を行い、チーム全員で仮編集を確認。仮編集の映像を元に小山さんがコピーをチューニングし、再び高橋さんが追加撮影を行っていく。このサイクルを何度も繰り返して映像を完成させました」

新聞は、アートディレクター 槻舘氏のディレクションのもと、映像制作を進める中で見えてきた6人の意志を感じる姿を高橋氏が撮影し、制作している。高橋氏は、この1年間で合計15日間ほど日立に足を運び、撮影したという。そして60周年ロゴの「60」の文字は、被写体となった社員の皆さんがそれぞれ手書きしている。

「前述の通り、この10年間で社会環境も相鐵自身も大きく変化しました。今回からスタッフに加わった槻舘さんは今後もさらに存在感が高まっていくであろう『地方のものづくり』の姿を、10年前よりオープンでしなやかなトーン&マナーでアートディレクションしています」(石原氏)

5月30日には、日立シビックセンターで約300名を招待して「60周年記念式典」を開催。同時に、相鐵60周年記念サイトの開設、相鐵グループ3社のサイトリニューアル、広報誌「相鐵新聞」号外と特別編集となる「るるぶ別冊」を発行した。

また、新聞・ムービーの撮影を全て行ったフォトグラファー 高橋マナミ氏は、50周年時に相鐵を舞台にした写真集「TRILL」を刊行。この写真集の続きの10年を見つめた写真展を、6月16日まで日立市内の「O’keeffe」で開催中だ。

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イメージ 新聞広告 式典他、高橋氏の展覧会でも配布中の広報誌「相鐵新聞」号外

イメージ 新聞広告 式典他、高橋氏の展覧会でも配布中の広報誌「相鐵新聞」号外

式典他、高橋氏の展覧会でも配布中の広報誌「相鐵新聞」号外

スタッフリスト

企画制作 ISHI inc.、上田家、IN FOCUS
周年ロゴ/新聞広告/相鐵新聞号外/記念品/ブランドMOVIE
CD 石原篤
C 小山佳奈
AD、D 槻舘翼
撮影 高橋マナミ
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ブランドMOVIE
演出、編集 片岡義憲
Pr 関山カヅキ
PM 石崎智之
音楽 川原孝平
Webサイト
Webディレクター 山平稜
Webデザイナー 渡邊歩実
プログラマー 阿部裕太
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