新コンセプトの背景として、広報担当者は「日本国内と海外におけるウイスキーのイメージに違いがある」と話す。国内ではウイスキーに「古い」イメージを持つ人も多く、ウイスキーを飲む場合はロック、水割り、ハイボールで楽しむ人が目立つ。一方、海外におけるニッカウヰスキーは「イノベーティブ」や「ユニーク」といったイメージが醸成されているほか、ウイスキーをベースとしたカクテルが身近なこともあり、バーテンダーからは「ニッカのウイスキーの味わいはユニークだ」といった声が寄せられているという。
創業者の竹鶴政孝氏は「英国人がウイスキー相手にじっくり生(いきる)を愉しむように、酔うためでなく愉しむために飲んでほしい」と願ったとしており、新しいコミュニケーション・コンセプトはこの思いを背景に、顧客にニッカウヰスキーならではのユニークな魅力とウイスキーの多様な楽しみ方を提案する狙いで設定した。
7月に数量限定で発売する「ザ・ニッカ ナインディケイズ」。バーやホテルでの販売や、各蒸留所やコンセプトBARで有料試飲を行う予定
90周年を記念し、ブレンデッドウイスキー「ザ・ニッカ」の限定商品「ザ・ニッカ ナインディケイズ」を数量限定(国内外で計4000本)で発売。7月2日に2000本、10月に2000本を販売する。9つの年代の150種類以上の原酒を使用したウイスキーで、90年の歩みを体現しているという。
同ブランドの世界観を体感できる場を世界各国で展開する予定で、東京都内では7~12月の期間限定でコンセプトBARをオープンする。詳細は未定だが、店内ではニッカウヰスキーブランドを使ったカクテルなどを楽しめるほか、コンセプトを体感できる展示やグッズを販売するという。コンセプトBARのオリジナルカクテルとして、ニッカウヰスキー欧州アンバサダーであるバーテンダーのスタニスラヴ氏が監修した「ニッカ セッション」をベースにしたカクテルを提供する。
シンガーソングライターである俳優の福山雅治氏がニッカウヰスキーのアンバサダーに就任。広告販促を通じてニッカウヰスキーの魅力を伝えていく考えだ。
同社は2015年~2017年にかけて約60億円、2019年~2021年にかけて65億円を投じて生産体制を強化。今年は栃木工場に樽貯蔵庫を新設し、9月から稼働する。貯蔵能力は2021年比で1割増となる。余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所での新たな貯蔵庫の設計着手や樽の購入も行う。