俯瞰的に戦況分析までできている会社は多くない
「なんだ、そんなの当たり前にやっているよ」と思われた方も多いと思います。
ただ、私も独立後、様々な企業の広報担当者様と接していますが、自社の動向だけでなく、政策動向や競合、顧客の動向まで定期的に見れている会社は意外と少ない印象です。
厳密に言うと、自社および周辺動向を定期的にウォッチはしているものの、自社が置かれている状況に対して俯瞰的に戦況分析までできている会社は多くない、という感じでしょうか。
例えば、とある業界の市場シェア下位の会社が、戦況分析が浅いままに、自社の業界・領域におけるプレゼンスを高めるために、「業界内での第一想起を取りましょう」「まず認知を取りましょう」といった広報計画を立て、定期的にメディア勉強会や調査リリースを発信し露出を強化するケースが多くあります(いわゆる「ソートリーダーシップ戦略」)。
しかしながら、業界内の自社のポジショニングや強みが明確でない状態で、発信を頑張ったとしても、それで得をしたのは(自社ではなく)業界トップの会社だけ、みたいなオチもよく聞きます。
自社の業界や領域に対する世間の関心を集めるのは良いことですが、自社がそれを語れる代表的なポジションにいなければ、本質的には意味がありません(メディア露出されても自社に落ちない、あるいは露出に至らない)。
広報の唯一の資源は「情報」である
よく広報の現場で「良い戦略が思い浮かばない」と仰っている方がいますが、たいていの場合は自社の事業理解が浅かったり、同業他社や顧客の動向に無知だったり、あるいはメディアの報道状況を見ていなかったりといった、情報のインプット不足に起因することが多い気がしています。
限られた情報のなかで芯を食ったアイデアや戦略が思いつけるのは一握りの天才だけです。私も例にもれず、発想力もクリエイティビティもない凡人なので、とにかく社内・社外含めて情報収集に務めることを心掛けています。
どこかで情報収集の仕方についても触れたいと思いますが、広報にとって唯一の資源は「情報」です。私も日々の忙しさにかまけて怠ってしまうこともありますが、自戒を込めてお伝えさせていただきました。
それでは今回のコラムはこの辺で終わりにしたいと思います。