同社は1974年に合成洗剤から、香料・着色料・酸化防止剤・合成界面活性剤不使用の「無添加石けん」に切り替えた。その結果、売上は100分の1以下に減少し、17年間赤字が続いた。従業員も激減し、5人体制だった時もあったという。
生活者の公害に対する意識の高まりから、全国各地で合成洗剤追放運動などの市民運動や消費者活動が巻き起こったことを背景に、徐々に風向きが変わったほか、赤字の中でも新卒採用を続けたことで「無添加石けん」に共感する社員が増えた。1991年には自社以外も含めた「石けん」の魅力を伝える『自然流「石けん」読本』を出版し、口コミによって広まったことが直接的な転機になった。現在は、石けん素地のみの無添加石けんにおいてシェアナンバー1を誇るという。
「体に悪いと分かっている商品を売るわけにはいかない」という考えで「無添加石けん」の製造・販売を続けてきた同社は、次の50年、100年に向け「人々の健康と地球環境・生物多様性を守り、持続可能な社会に貢献する企業としてチャレンジし続けたい」としている。