総務省は6月21日、いわゆる「なりすまし型偽広告」の掲載防止・抑制について、SNS「Facebook」などを運営する米メタ社に対し、対策の実施を要請したと発表した。月間利用者の平均が1000万人を超えるSNSを運営する企業についても、ソーシャルメディア利用環境整備機構を通じて、要請を出した。
メタ社のほか、SNS運営企業への要請は、広告の事前審査基準の追加策定と公表、「なりすまし型偽広告」の削除。基準についてはいくつか具体的な点が挙げられている。
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ひとつは、広告を見た人との1対1のような閉じられた状況でのチャットに遷移させる広告を原則として取り扱わない点。なりすまし型偽広告をきっかけとした詐欺の手口や実態を踏まえた広告の審査や、なりすまし被害者に関する偽広告の事前審査を強化すること、広告主の本人確認の強化なども挙げている。すでに基準としてある場合は、その実効性を確認し、必要に応じて改定することも求めた。
要請には、広告削除を受け付ける方法の整備や、対応期間や人員の強化のほか、削除した件数や、特に「日本語を理解する者の人数」を含めて削除の対応にあたる体制についての公表も含まれている。
なりすまし型偽広告は、著名人の名前や写真などを用いて本人になりすまし、セミナーなどへの勧誘などを図る広告。投資詐欺の被害が急速に拡大している。詐欺による直接的な被害のほか、なりすまされた本人や企業の名誉などの権利侵害が生じる恐れもある。生成AIを悪用してあたかも本人かのようにふるまう映像や音声などを合成するなど、手口も複雑化、巧妙化しつつある。