タイムズスクエアに大谷翔平選手が降臨、「お~いお茶」が世界に広まる

世界の中でも高額な広告スペースとして知られる場所に、とある広告が出た。その場所とは、ニューヨークのタイムズスクエア。広告の多さや広告効果の高さで有名なこの場所の中でも、特に注目されるのはワン・タイムズスクエアのLEDディスプレイだ。ここは、New Years Eve(大晦日)のボールドロップが行われる国際的に有名な場所であり、広告を出すことは企業としての強い覚悟と意思を示すことに他ならない。

極端な話、お金を出せば広告は出せる。だけど、より多くの人から見られる場所に露出し、世界中の、それも不特定多数の人の目に触れるということは、如何に正しくても、一定数の人達からは言われもないことを言われる。それは世界共通。だから「どこから見られても、例え何を言われても大丈夫」という確固たる覚悟と準備がある姿勢の現れなのだ。

さて、その広告とは、5分ごとに15秒流れる大谷翔平選手が登場する伊藤園の「お~いお茶」のLED広告だ。このビジュアル訴求力は非常に高いと言える。伊藤園は、甘くない緑茶をアメリカで一般に浸透させた立役者であり、今回は今をときめく大谷翔平選手をグローバルアンバサダーに迎え、世界85ヵ所以上で広告ジャックを展開した。その中でも、タイムズスクエアのワン・タイムズスクエアでの広告掲載は特に注目されている。まさに「お~いお茶」を背負った大谷翔平、タイムスクエアに降臨だ。

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アメリカでの緑茶の普及について考えると、筆者の経験が思い出される。筆者が初めてNYに来た頃、Arizonaというドリンク会社のGreen Teaを購入し、何の疑問も抱かず飲んだところ、甘くてびっくりしたことを思い出す。緑茶が甘いなどと想像もしていなかったから尚更だ。当時、アメリカのペットボトルや缶の飲料は甘いものばかり。しかし、伊藤園はこの甘くない緑茶を一般に広めることに成功し、日本食の一般化と共に緑茶の日常化も定着していった。

また、20年ほど前、日本に仕事で来ていたアメリカ人の友人が、ヘルスコンシャスなベジタリアンで、日本の甘くないペットボトルのお茶を非常に喜んでいたことを思い出す。その頃から、伊藤園はアメリカでもペットボトルの甘くないお茶を展開し始めており、そのデザインも素敵だった。そのペットボトルのお茶は逆輸入的に、当時Sony Plaza(現PLAZA)で販売されており、買ってみた経験がある。

その後、しばらく経ち「お~いお茶」のパッケージをニューヨークで目にすることが増えた。日本語の文字も含め、グリーンで爽やかかつ穏やかなパッケージデザイン自体が緑茶のイメージとリンクして、認知されたのだなと感じたものだ。

お茶の中でも、抹茶はすっかり市民権を得て、抹茶ドリンクの専門カフェもあり、抹茶味のお菓子は大人気だ。NYの地元密着型のカフェ(日系ではない)にもメニューに抹茶ラテが存在し、「なんちゃって」ではあるけれど、茶せんでシャカシャカしてくれたりするのだ。

ここまで緑茶が一般に知られ、受け入れられるようになるまでの道のりは、決して簡単ではなかったはずだ。今回の世界中での広告ジャック、そのうちの1カ所がNYのワン・タイムズスクエアのLED広告。伊藤園が次のステージへと向かっている。

大谷選手の、世界のトップアスリートとして認知されるプレゼンスや、その強靭な体を持ちつつ、爽やかで素朴な一般に受け入れられやすい感じと、「お~いお茶」の存在感は、何とも良いバランスの取れた融合に見える。緑茶をそのままイメージさせるパッケージのグリーンは、決して強烈なインパクトではないし、個性的かと言えば決してそうではない。しかし、グリーンという色の視覚効果は、それがある場をほっとさせてくれ、正に忙しない日常に気軽な一服の時を与えてくれる。とてもカジュアルな「茶の道」を、多くの人々に提供してくれている。

現在、タイムズスクエアの伊藤園のLED広告が流れる場所の麓あたりには、巨大なホットドッグのオブジェが設置されている。伊藤園の広告ジャック世界85カ所以上のうち、渋谷駅構内の円柱媒体をまるで本物の巨大「お~いお茶」ボトルのようにした広告が6月10日より出現、その映像を見た後だったからか、これが大きな「お~いお茶」のペットボトルだったら、すごいインパクトだったろうと、タイムズスクエアのど真ん中で妄想してしまった。

緑茶文化が広がる中で、大谷翔平選手のグローバルな存在感と「お~いお茶」のブランド力が見事に融合し、お茶とスポーツの組み合わせによる新たな顧客と市場を開拓する可能性を秘めている。

このタイムズスクエアでの広告掲載は、単なる広告ではなく、広いアメリカ全土そして世界中から訪れる観光客に「お~いお茶」のメッセージを強力に発信する機会となっている。これにより、「お~いお茶」がさらに広く知られ、ブランド価値が高まることが期待される。

大谷翔平選手と「お~いお茶」のコラボレーションが、今後、ますます世界中で多くの人々に愛される存在となることだろう。

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日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)
日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)

東京生まれ、ニューヨーク在住。フリーランスを経て、2004年、ニューヨークでリアル コスモポリタンを設立。日欧米亜合わせ数千人のハイプロファイリング・クライアント(日系企業や外資企業日本法人の経営層、政治家、財界人、セレブリティーなど)の包括的なブランディングを手がけてきた。施策提案など総合的なコンサルティングを実施し、高い評価を得ている。主な著書『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社) 、『Premium Image Management for Men』DVD監修(SONY PCL)、『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム) など。

日野江都子(企業ブランディング・プロデューサー/ 国際イメージコンサルタント)

東京生まれ、ニューヨーク在住。フリーランスを経て、2004年、ニューヨークでリアル コスモポリタンを設立。日欧米亜合わせ数千人のハイプロファイリング・クライアント(日系企業や外資企業日本法人の経営層、政治家、財界人、セレブリティーなど)の包括的なブランディングを手がけてきた。施策提案など総合的なコンサルティングを実施し、高い評価を得ている。主な著書『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社) 、『Premium Image Management for Men』DVD監修(SONY PCL)、『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム) など。

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