月刊『宣伝会議』では、社会に大きな影響を与える有識者が、いまの広告やメディア、コミュニケーションについて、どのように捉えているのかをインタビューする企画「私の広告観」を連載中。ここでは「私の広告観 出張所」として、インタビューの一部や誌面では掲載しきれなかった話をお届けします。今回登場するのは、「さくっと狂言」「kyogen lounge」など、伝統にトレンドを取り入れた“新しい狂言”の発信にも意欲的に取り組む、能楽師狂言方大藏流の大藏基誠さんです。
――大藏さんが取り組まれている“新しい狂言”とはどのようなものでしょうか。
最初の取り組みは2005年に企画した初めての自主公演で、『さくっと狂言』という初心者でも楽しめる舞台のプロデュースです。2011年には、狂言とpartyを融合させたライブイベント『kyogen lounge』を開催。公演会場にラウンジを設け、DJブースも設置しました。ドリンク片手にお客さま同士の交流も楽しめるというクラブ感覚のライブで、大変好評をいただき、2024年もまた東京で開催予定なんです。
若い人に関心を持ってもらうために、ファッション雑誌などの異ジャンルとのコラボレーション企画も実施しています。伝統を重んじながらも時代のトレンドを取り入れることがポイントです。
「kyogen lounge」の様子。
――狂言は、猿楽と呼ばれる即興性や滑稽味のある劇芸能を洗練させ、対話と所作を用いた笑劇ですよね。狂言と広告のつながりとはどのようなものでしょうか。
狂言は室町時代に芸能として形式が定着していったのですが、その発展を支えたのは当時の将軍や大名たちでした。彼らがそれぞれお抱えの役者を持っていたことから、狂言役者はその家柄のイメージアップを図る広告塔としての側面も持ち合わせていたのではないでしょうか。
演技が上手く、高価な衣装を着て目立てば目立つほど、お抱えである将軍家や大名家の名が上がっていく。そんな裏の役割も担っていたのではと想像します。
…大藏さんのインタビュー記事全文は、月刊『宣伝会議』2024年7月号 に掲載。
月刊『宣伝会議』デジタルマガジン では、2013年から本連載の過去10年分のバックナンバー記事を閲覧可能です。