データで読み解く、コロナ禍前後の生活者行動とOOHメディアの可能性

JR線や地下鉄の乗り換えで多くの人が行きかう渋谷の地下道の一コマ。壁一面に設置された迫力ある大型ディスプレイに等身大のアイドルグループが歌い踊る。少し離れたところでは女子高生たちがスマホを構え、自分だけの“推し”を追いかけている。会心のショットはTikTokやInstagramなどで発信されて、瞬く間に友人やその先のコミュニティに共有される……。

会社への行き帰りなどにそうした光景を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。共有される写真には、推しの姿だけでなく、ディスプレイがたたずむ地下構内を行きかう人の波や友人や推し活仲間との「共体験」でアガった気分も写し撮られ、豊かな物語性を帯びているはずです。

気になったモノ・コト(シーン)をスマホで撮影して、InstagramなどのSNSですかさず友人などに共有する、というα世代・Z世代といった若者層を中心としたアクションともOOHは相性がよく、直接の接触者だけなく、間接的な接触者の創出といった「拡散」が期待できることや、「わたしもあそこに行ってみよう」といった「追体験」へと誘う力を秘めているのもOOHならでは、と言えるでしょう。

「Digital×OOH」というさらなる可能性

新宿や表参道などで展開されている3D広告や駅構内や電車内で見かけるデジタルサイネージなど、新しい技術を駆使したOOH広告も登場して、個人のSNSやニュースなどで話題として取り上げられる機会も増えてきました。また、位置情報などを用いて出稿計画を立案したり、広告効果測定を行ったりとデータ活用も日々進化しています。

広告主にとってはインターネット広告などに比べてプランニングの精度や広告効果が見えにくいことを理由に二の足を踏んでいたところもあったかもしれませんが、外出機会も回復しつつある今、アフターコロナにおける生活者の行動意識や外出行動をデータにより正しく捉えるとともに、アップデートされたOOHの活用を検討するよいタイミングと言えるのではないかと考えます。

※1)インテージ生活者Index調査:2020年3月~
調査地域:全国  対象者条件:15-79 歳の男女  標本サイズ:n=約3,000s(1回あたり)
調査実施時期: 2020 年3月~現在も継続中。
最新:2024年4月調査 /回収:3,107s / 調査実施時期:2024.3.29~4.1

※2)モバイル空間統計Ⓡ・国内人口分布統計(リアルタイム版)
数値は2019.8~12月の平均人口を1とした時の指数

※3)電通「2023年 日本の広告費」より

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田中宏昌

インテージ 生活者研究センター長

たなか・ひろまさ/1992年、電通リサーチ入社。1994年より電通の消費者研究センターや電通総研に駐在勤務し、社会潮流や生活者研究に従事。2013年、楽天を経て、2014年、インテージへ。広告効果計測サービス(i-SSP)の開発などを経て、2020年より現職。

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