「時代の壁を取り、事実を基にする」映像ヒットのお宝はここに眠る

「AdverTimes.(アドバタイムズ/アドタイ)」は2024年6月に20周年を迎えました。2004年に新聞として創刊、2010年からオンラインがスタートし現在に至ります。
20周年の節目に際し、これまでのコラム執筆者の皆さんから寄せられた、それぞれの領域における「これまでの20年とこれからの20年」を紹介します。

草場 滋

メディアプランナー

――これまでの20年間で、ご自身のお仕事の領域や関心領域において、エポックメイキングだったと思われることはなんですか

女性による「男性の趣味」への進出。例えば、かつて「鉄道」は男性のオタク趣味だったが、2000年代半ばから女性も鉄道好きを広言するようになった。

背景に、当時ブームのSNS「mixi」の存在。それ以前、鉄道好きの女性は、いわば“学年に1人”程度しかおらず、彼女は誰にも自分の趣味を言えなかった。それが、「mixi」のコミュニティで、“校区を越えて”初めて「同好の士」と出会えたことで、彼女たちは堂々と「鉄子」を名乗れるようになったと感じる。

その後、様々なSNSの隆盛で、同様に「山ガール」、「カープ女子」、「女性のソロキャン」も可視化された。つまり、SNSによる女性の趣味マーケットの拡大が、この20年の最大のエポック。

――現在のご自身のお仕事の領域において、最も関心を寄せる/寄せられるべき課題は何だとお考えですか

アニメを除く日本の映像コンテンツは世界で戦えないと言われることもあるが、解決の鍵は「時代レス」と「ベース・オン・トゥルー・ストーリー」ではないか。“時代”の壁を取り払い、“事実”を基にした作品を増やす。そこにはヒットのお宝が多く眠っている。

例えば音楽は、今やサブスクで、どの時代の音楽にも等距離でアクセスできるようになった。前は70~90年代の音楽を扱うと、同時代を過ごした人々の「懐古(レトロ)趣味」に映ったが、今や若い人たちも新曲に接するように、TikTokで90年代の音楽に接している。思えば、アメリカの映画やドラマは以前から、様々な時代を舞台として扱い、実話を基にした作品も多い。ゆえに題材も豊富。日本の映画やドラマもそういう流れにしたい。


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