東京商工リサーチは6月25日、2023年度に都道府県をまたいで本社移転した企業は前年比3.3%増の1万3701社との調査結果を発表した。2年ぶりに増加した。転出が多かったのは東京都で、転入を631社上回った。運輸業を除く9つの産業で転出が転入を超えた。21年度、22年度と転出超過数は1000社の大台に乗っていたが、23年度は割り込んだ。
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業種別では小規模事業者が多い「サービス業他」が5254社で最多。以下、「情報通信業」が1672社、「小売業」が1423社となった。東京商工リサーチは、「コロナ禍からの需要変化に合わせ、機動的に本社を移転した企業が増えたとみられる」とした。特に情報通信業は、リモートワークが定着しやすく、ランニングコストを抑える目的などで、都心から地方への移転が続いているようだ。採用や従業員の働き方改革を目的とした移転も見られるようになってきた。
転入が多かったのは千葉県で、転出を104社上回った。主に東京都から転出した企業の受け皿となった。2位は茨城県で同96社、3位は長野県で同68社だった。エリア別では九州が116社。半導体の受託生産世界最大手のTSMC(台湾)が、熊本県に工場を設けたことから、関連産業の企業や工場も相次いで進出している。