コーヒーとサブスクで客層若返り 新業態の「町の電器店」、ファミリー電気商会大津店

京急大津駅から徒歩2分の「ファミリー電気商会 大津店」

パナソニックは2018年に神奈川県藤沢市でテストマーケティング店舗「パナソニック クラシンク」を開設し、3年間の実証実験を実施。考案した約60のサービス案から、最終的に現在のクラシンクで導入している「料理」「カフェ」「美容サブスク」の3種類に絞った。パナソニックの家電との親和性が高く、来店の導線として機能するサービスを選んだ。

クラシンクを導入した店舗は、月額3万円のロイヤリティを支払うことで、パナソニックから販促活動に必要なサポートを継続的に受けることができる。全国で導入を進めており、現在では全国で6店舗が導入している。

同店はクラシンクに変わったことで、店のイメージも向上したという。これまで「町の電器店」は必ずしもポジティブな印象ばかりではなく、何をしているか把握していない人や、「高額商品の購入を迫られる」といったイメージを持つ人も少なくなかった。

地域のお祭りなどでもコーヒーやお菓子を販売することで、地域でのイメージアップとリピーター獲得につながった。通常の電器店と違い、従業員が専用ユニフォームを着用している点も特長で、顧客が来店しやすい雰囲気づくりにつながっているという。

サービスが充実したことで以前より忙しくなったが、同店は必要不可欠な投資と考えている。現在はカフェのみの利用も多く、短期的には稼働客が増えた一方で客単価は下がっている。

パナソニックマーケティングジャパン営業本部の篠崎育哉課長は「今までの電器店の経営では、上得意客は高齢化などで自然に少なくなる。クラシンクは新しい顧客を作ることで一時的に単価は下がるが、その顧客を上得意客に育てていく」と戦略を説明。短期的ではなく、中長期的な目線で町の電器店を支援していく考えだ。

ファミリー電気商会の大津店チーフの井上恵子氏は「地域密着経営や店の明るい雰囲気を通じて、クラシンクを実需につなげていきたい」と意気込みを語った。

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