人流ビッグデータとの掛け合わせで広がるOOHの可能性

媒体の効果を可視化

一方で、広告主目線では広告に触れた人が最終的にどのような行動をしたのかの把握も重要です。位置情報技術によって、広告接触後の効果測定が可能な例を3つ紹介します。

■店舗送客効果
媒体接触者と、送客先の店舗来店者それぞれの人数を計測することで、媒体接触者のうち何%の人が実際に来店したのかの来店率を算出することができます。広告の施策前後や、媒体接触者と非接触者の比較によってOOH広告によるリフトを見ることも可能です。

■Web送客効果
人流ビッグデータとWebアクセスデータを共通IDで紐づけることが可能です。これにより、人流データ由来のOOH接触者が、その後実際にWebサイトへ来訪したのかを計測することができます。

■ブランドリフト
アンケートパネルデータを人流データと共通IDで紐づけることも可能です。これにより位置情報ログから媒体接触者に限定したアンケートを配信することで、非接触者と比較して商品認知や興味関心度がどのくらいリフトしているのかを見ることができます。

グラフ その他 人流ビッグデータ

共通のユーザーIDをキーに人流ビッグデータとその他のデータを連携させることができる。

ここまで人流ビッグデータとOOHの掛け合わせによって、実現できる媒体価値や効果の可視化について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか?

もちろん実際のOOHの実施に当たり、どのエリアのどのメディアに出稿するかに加え、どんなアイデアの広告を掲出するかが最重要であることは言うまでもありません。どんなによい場所のよい媒体であっても、そこに掲出される広告のインパクトが乏しかったりそもそもターゲットが合っていたりしなければ意味がありません。

今回ご紹介したように少なくともメディアの持つパワーを数字的に裏付けることは、以前よりも可能になってきました。また最近では、小売店の面を使うリテールメディアの成長で、店舗内のサイネージが増えていたり、訪日観光客の増加でインバウンドへのアプローチが重要視されていたりなど、OOHを取りまく環境でも新たなトレンドが生まれています。

さらに、人流データをリテールの購買データやテレビの視聴データをはじめとする様々なデータと掛け合わせることで、例えばテレビCMを観た人が、その後どのお店に行って、何を購入したのか?といったことまで把握できるようになっています。

データとメディアの掛け算によって、OOHを含む“リアルメディア”の可能性がますます広がっていく未来をぜひ皆様と一緒につくっていけたら幸いです。

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※1)プロモーションメディア広告費のうち「交通広告」「屋外広告」「イベント・展示・映像ほか」を足した市場規模

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平井健一郎

(unerry リテール&メディア事業開発 メディアプロデューサー)

ひらい・けんいちろう/2023年6月unerry入社。広告代理店でOOH(交通広告・屋外広告)の企画営業や新規事業開発などを経験後、JR東日本グループにて鉄道関連事業やOOHビジネスのDX推進に従事。unerryではメディア領域の事業開発を担当。自身の運営する「Oh!OOH!!」やマーケティング専門誌「販促会議」にて街ナカメディアの活用事例を発信中。

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