フライパンチャレンジに発展 味の素冷凍食品SNSのあの返信の裏側

UGCなどにより情報の拡散も見込めるSNSですが、生活者の声から予想外の発見があることもあり、それらの声への向き合い方は企業イメージにも影響を与えます。生活者からの商品に対する投稿から始まった、味の素冷凍食品の事例を紹介する。
※本記事は、7月1日発売の『広報会議』2024年8月号 「SNS」特集の一部を転載しています。

2023年5月、X(当時はTwitter)上に、味の素冷凍食品の冷凍餃子をフライパンで焼いたところ張り付いてしまったという写真が「油いらないって!! 書いてたじゃん!! 嘘つき!!」というコメントとともに投稿された。

それに対して同社のX担当は、「味の素冷凍食品は誰でも失敗なく羽根つきギョーザが焼きあがる感動を届けることを目指しており、研究・開発のため、調理に使用したフライパンを着払いで提供してほしい」旨を返信。この返信には1万を超える「いいね」がついている他、返信内容を称賛するコメントも寄せられている。この返信はどのような判断のもとなされたものだったのか。

イメージ 「冷凍餃子をフライパンで焼いたところ張り付いてしまった」という生活者からの投稿に対する、味の素冷凍食品の返信。

「冷凍餃子をフライパンで焼いたところ張り付いてしまった」という生活者からの投稿に対する、味の素冷凍食品の返信。

ひとりに真摯に向き合った返信

同社はSNSのうちFacebook、Instagram、X、YouTubeを活用。商品ブランド等のアカウントは各事業部で運営しているが、企業公式アカウントは、同社広報が運営しており、SNSごとにひとりの担当者がついている。

今回返信をしたのはXの「味の素冷凍食品【公式】」アカウント。担当者は日々、自社に関する発信をエゴサーチしており、その中で「冷凍餃子がフライパンに張り付いてしまった」という該当の投稿を発見した。

PRグループ長を務める勝村敬太氏は当時の様子について、「Xの投稿や返信について、通常の日常投稿などは担当者が行っていますが、企業としての考えを示す場合やクレームなどへの対応はグループ長である私の責任で判断したり、内容によっては関連部署や経営層に判断を求めたりしています。SNSは発信するタイミング、スピード感も非常に重要なこともあり、今回のケースはXの担当者と私で内容を決め、返信しました」と話す。

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