フライパンチャレンジに発展 味の素冷凍食品SNSのあの返信の裏側

同社のギョーザは、“誰が調理しても綺麗に焼けること”を目指しており、ギョーザを綺麗に焼けるという成功体験を多くの人に提供したいと考えている。勝村氏とX担当者は、この投稿を行った人が今回の件をきっかけにギョーザを焼くのが嫌になったとしたら、可能な限りそれを取り除きたいと考えた。使いこまれたフライパンを使用した場合、本人の料理スキルにかかわらず失敗してしまう可能性が考えられたが、現状の投稿内容だけではフライパンの状態なのか、火加減が強すぎたのか等、原因を解明するための情報が不十分だった。そこで、フライパンを提供してもらうことで原因を突きとめたいと考えたという。

「ただ、フライパンを提供してもらえてもPRグループでは検証手段に限度があります。そこで、方針を決めた後、当社の研究所にすぐに相談したところ研究所側からも『ぜひ実際のフライパンを見たい』との回答があり、合意がとれたので返信をしました」(勝村氏)。

その後、同社はさらに多くの“使い込んだフライパン”を生活者に提供してもらい、検証をすることに。公式サイトを起点に生活者に募集を呼びかけたところ、最終的に3520個ものフライパンが集まった。集まったフライパンの検証を経て、2024年2月11日に改良した「ギョーザ」を発売。これらの取り組みは「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトと名付けられ、現在もプロジェクトは続いている。

写真 商品 呼びかけに対して生活者から集まったフライパン

イメージ 「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトサイトkv

呼びかけに対して生活者から集まったフライパンの数は3520個。「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトサイトでは、集まったフライパンの一部の紹介や、研究の進捗報告も行っている。

――――本記事の続きは『広報会議』2024年8月号 (7月1日発売) に掲載しています。

広報会議 2024年8月号



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